国民からすればどうでもいい話だが、政府にとって「調整」というものが、いかにプライオリティの高い仕事かは、首相官邸のWebサイトが雄弁に語っている。今月10日に「休業要請に関する東京都との調整についての会見」として以下のような首相の言葉が掲載されている。
「法令にのっとって、感染拡大を収束させるためにできることは全て行う。一日も早く、みんなで笑って語り合える日を迎える。この思いは、国も東京都も全く同じであります。その思いの中で、最終的な調整をしてきたところでございますが、お互いに一致できたということは、本当に良かったと思います」
この浮かれようからも分かるように、政府にとって、東京都と交渉を重ねて「調整」できたのは、大きな達成感の得られる「大仕事」という位置付けだ。しかし、現場で感染の恐怖と戦いながら治療にあたる医療従事者や、家族や大切な人が感染しないかと不安になっている国民からすれば「調整」など手続きの話に過ぎない。もっとはっきり言ってしまうと、なければないにこしたことがない「ムダな会議」くらいに思っている。
この「調整」に対する意識のギャップが、冒頭で紹介した「ぬるい」「遅い」「危機感がない」という政府への不満を引き起こしているのだ。
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