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新型コロナが暴露 この社会を真に破壊する「社畜根性」というウイルス「生物としての人間」を無視してきたツケ(1/3 ページ)

» 2020年04月22日 08時00分 公開
[真鍋厚ITmedia]
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 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)に終わりが見えない中、さまざまな業界の人々が「アフターコロナ」(コロナ後)の世界についての議論をし始めています。

 世界各国の大都市圏を中心にロックダウン(外出・移動制限)という強行措置が取られ、人と人との間隔を空けて直接接触の機会を減らすソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)戦略が市民の義務となり、テレワークやオンライン飲み会が一気に主流に躍り出ました。これは目に見える分かりやすい変化です。

photo 緊急事態宣言後も通勤客でごった返す東京・品川駅(4月20日撮影、ロイター提供)

コロナが暴いたこの社会の「社畜体質」

 この変化は、単に従来の産業構造やビジネスモデルが大きな転換を余儀なくされてきている、というだけではありません 。非常時にどの程度まで私権制限は許されるのかという安全と自由のバランスや、感染拡大を防止するための健康情報とプライバシーに関する認識も変容しつつあり、わたしたちにとってアフターコロナは別世界となり得る可能性が高いと言えます。

 現在盛んに行われている議論では、今回のコロナ禍は簡単に過ぎ去ってくれるものとは捉えてはおらず、今後もコロナ禍、あるいは別のパンデミックに繰り返し見舞われる可能性を勘定に入れています。このような立ち位置は「ウィズコロナ」(コロナとの共生)と呼ばれています 。つまり、従来の社会から「コロナ的なものを前提にした社会」に作り直すことが不可欠だというのです。

 特にわたしたちにとって身近なのは仕事です。企業にとっての「働かせ方」、ビジネスパーソンにとっての「働き方」の問題は避けては通れません。最大の障壁は、単に「テレワークがしづらい」といった時代錯誤的な職場よりもむしろ、生産性で推し量る「労働力としての人間」にしか関心がなく、病気になったり致死性のある病原体を撒(ま)き散らしたりすることもある「人間の生物としての側面」を軽視するカルチャーです。

 1つ分かりやすい例を挙げましょう。日本では2月に入って市中感染の恐れが指摘される感染事案が相次ぎました。その際、発熱しても出勤する会社員らの「社畜体質」と称されるものが、ソーシャルメディアを中心に話題になりました。

 まず、「風邪の療養のため有給休暇を取得して休んでしまう」社員よりも、「風邪薬を飲んで仕事を続ける」社員の方が評価される現状があります。ロイヤリティー(忠誠心)や根性論の文脈で語られる側面です。

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