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» 2020年04月28日 09時09分 公開

「喫煙者は新型コロナにかかりにくい」 まさかの新説は本当かスピン経済の歩き方(2/5 ページ)

[窪田順生,ITmedia]

トンデモ科学なのか

 桂歌丸さん、志村けんさんなど、ヘビースモーカーがCOPDや肺炎になりやすいことはさまざまな研究によって明らかにされている。ということは、人工呼吸器が必要になるほど急速に悪化する新型コロナ肺炎でも、喫煙が大きな影響を与えていると考えるのが自然だという研究者が圧倒的に多いのだ。

 では、フランス発の「喫煙者は新型コロナにかかりにくい」というのはトンデモ科学なのかというと、現時点ではそう断言することは難しい。新型コロナについてはまだそれほど研究も進んでいないので、もしかしたらということだってあるだろう。

 田辺三菱製薬が買収したカナダのベンチャー、メディカゴがタバコの葉を「バイオリアクター」のように用いて、新型インフルエンザのワクチンを大量生産する手法の開発を進めているように、タバコ葉の成分にも医療へ応用できそうなものもないことはない。ならば、ニコチンにも何かしらの効果があってもおかしくはない。

 ただ、研究への評価はさておき、「喫煙者は新型コロナにかかりにくい」という話に関してはかなり危ういものを感じている。データを都合のいいように解釈することで、ある特定の人々の利益につながる結論へと誘導しているように見えなくもない。つまり、いわゆる、スピンコントロール(情報操作)の可能性もあるからだ。

 ご存じのように今、世界の愛煙家とタバコ産業は未曾有の危機に直面している。いつ収束するかも分からない謎のウイルスによる重症化の原因が「喫煙」だという研究が世界中から次から次へと発表され、WHOや各国の保健当局が「タバコを吸うな」と呼びかけている。これまでにない「大逆風」である。

 そんな世界的バッシングを少しでも和らげようとする人々がいたら、彼らはどうするだろうか。「喫煙が新型コロナを重症化させるなんてうそだ!」と声高に叫んだところで袋叩きにあうのがオチだ。となれば、残る施策はひとつしかない。喫煙には確かにリスクはあるが、メリットもある。つまり、新型コロナ感染に対しても、何かしらの効果があることを訴求するのだ。

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