やはり、メーンユーザーである観光目的の高齢者が遠出を自粛したことが、巣鴨の商店街の集客減につながったと言えそうだ。ちなみに戸越銀座でも、前年では半径6.3キロあった70%商圏が今回は1.9キロに縮小しており、巣鴨ほどではないが観光客の自粛傾向が見て取れる。各商店街での営業短縮や休業の取り組みも寄与しているとみられる。
訪問者が主にどこから来たかを示す、戸越銀座通り商店街の「70%商圏」の変化(前年同時期と比較。外れ値を避けるため1都3県以外からの人は除外。外れ値を避けるため首都圏の1都3県以外からの人は除外。MarketAnalyzerで分析)一方で、商店街の過剰な集客抑制を巡っては、遠方からの観光客だけが問題ではない。実は外出自粛が緩んだ地元民が、日頃の習慣通り、近隣のにぎやかなスポットについ集まる現象も考えられる。
3カ所目に分析したのは、都内有数の長いアーケードで知られるハッピーロード大山商店街(東京都板橋区)。先に挙げた巣鴨・戸越銀座と違ってこちらは観光目的の訪問は少なく、付近の広大な住宅街に住む地元客がメーンユーザーとされている。
GW中の同商店街への来訪者の減少率は、前年同時期比でわずか約24.7%。「観光系商店街」である巣鴨・戸越銀座が半減していたのを考えると、かなり低めだ。70%商圏についても今回は半径約1.5キロ。実は、平時である前年のGWでもわずか約2.4キロしかなく、大差なかった。改めて「地元民向け」の商店街であることが見て取れる。ちなみに、世代間で減少率に極端な差は見られなかった。
個人商店や居酒屋が多く集まり、地元では人気商店街として知られるハッピーロード大山。これはあくまで都内の一例ではあるが、GWになって近隣住民が「遠方への旅行」は自粛したものの、買い物や飲食、知人と会ったりするため近くの商店街には出掛けるといった動きがあった可能性もある。
新型コロナを防ぐため、総じて観光目的の人出が全国的に抑制されたと報道されている大型連休の外出自粛状況。ただ、宿泊を伴うような旅行とは逆の、「近所の商店街に遊びに行く」といった身近な外出については、自粛の徹底はなかなか難しいようだ。どうしても生活に不可欠な買い物や飲食は継続しつつ、商店街など“普段使い”の混雑エリアでの「密」をどう防ぐかが問われる。
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