アパレルから音楽まで、米国で加速するマスクビジネス 日本人が学べる“精神”とは世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)

» 2020年05月14日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

音楽業界はマスクでミュージシャンを支援

 さらにこんな例もある。米レコード会社のユニバーサルミュージックは、「We've Got You Covered」というキャンペーンを始めている。

 このキャンペーンでは、そうそうたるミュージシャンのロゴが入った布マスクを購入できる(関連リンク)。値段は15ドルで、ローリング・ストーンズやクイーン、ボブ・マーレー、2PAC、ジャスティン・ビーバー、アリアナ・グランデ、エアロスミス、ブラック・サバス、セックス・ピストルズ、パンテラなど多くのラインアップをそろえている。しかも、これからさらに多くのミュージシャンのマスクが登場するという。

有名ミュージシャンのロゴが入った布マスクを販売(出典:「We've Got You Covered」キャンペーンサイト

 日本では、多くのミュージシャンが“3密”を避けるために、コンサートなどを一切開催できなくなった。「ほとんど失業者状態だ」と、知り合いのミュージシャンが嘆いていたが、それは世界中同じである。そこで、ユニバーサルミュージックは、このマスクを販売することで、収益を音楽関係者への支援を行う米非営利団体のミュージケアーズや、英非営利団体のヘルプ・ミュージシャンズに寄付し、業界を支えようとしている。

 アパレル業界も音楽業界も、寄付を行ったり、自分たちでなんとかダメージを軽減させようと独自で動いたりしている。そのメンタリティは見習うべきではないだろうか。

 日本でも、例えば、いろいろな業界が知恵を絞って、第三者的に動ける業界団体や支援団体にお金を集め、自分たちを守っていく、といった対策を考えてみてはどうか。筆者は、別に海外が断然優れているとやみくもに言いたいわけではないが、もしかすると日本人は「お上」に期待しすぎているのかもしれないとは感じている。

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