攻める総務

コロナ後もテレワーク、「オフィス消滅」企業が続々職場は本当に必要?(1/3 ページ)

» 2020年05月25日 08時00分 公開
[服部良祐ITmedia]

 新型コロナウイルス対策のため、都心部を中心に急激に浸透した在宅勤務。中にはIT企業やベンチャーを中心に、「コロナ後」もテレワークの継続に舵を切った結果、本社オフィスを“消滅”させる動きが進んでいる。「職場」は本当に要らないのか。意外なメリットとは?

 サービス業の店舗向けに情報共有などが可能な動画サービスを提供するClipLine(東京都港区)は、4月末に本社オフィスの賃貸契約について解約通知を出した。

photo 在りし日のClipLineの本社オフィス。新型コロナによるテレワークを受け契約を終了(同社提供、東京・港)

都心の快適オフィスより「自宅の方がいい」

 同社では東京都など7都府県の緊急事態宣言(4月7日)の直前に、約50人いる社員のほぼ全員がテレワーク体制に移行し、コロナ終息後も続ける方針だ。今後、臨時の面会などに使う小さいスペースを借りるかは検討中だが、少なくとも社員の固定席があるオフィスは持たない。

 実は、割とオフィス環境には気を遣ってきたという同社。JR田町駅近くの築3年ほどのビルのワンフロア全体(約600平方メートル)を、月額約500万円で1年半前から借りていた。天井も高く、50〜60人は入れる会見やセミナー用のホールを完備。「部署間のコミュニケーションを改善するため、2フロアに分かれていた前のオフィスから引っ越した経緯があった。きれいでセキュリティ面も良く、前より業務も進めやすくなっていた」(高橋勇人社長)

photo 在りし日のClipLineの本社オフィス(同社提供、東京・港)

 ただ、高橋社長がテレワーク中の社員に面談で感想を聞いたところ、「仕事が楽になった」という声が多数を占めた。通勤に加えて身支度の時間が無くなるメリットがよく挙げられたという。さらには「自宅なら好きな時間に飲食できるし、社員のリラックス度合いも違っていた」(高橋社長)。

 「駅に近く快適なこのオフィスを出ることになるとは、夢にも思っていなかった。でも今回、(テレワークを機に)『自宅の方がオフィスより快適です』と社員にはっきり言われたようなもの。引き続き働く場は分散していきたい」(高橋社長)。外出自粛が解けた後も勤務場所は自宅にも限定せず、例えば親の介護で実家に行ったり、観光地で旅行しながらの勤務など、働き方の自由度を高めていく方針という。

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