結局のところ、老後の生活を守るにはより多くの貯蓄が必要という話になる。年齢別の増加率を比較すると、30代の割合がもっとも高く、18年との比較で男性は122%、女性は91%も貯蓄を増やしている。次に目立つのは50代女性で38%の増加である。
昭和の時代までは毎年のように昇給が実現していたにもかかわらず、貯蓄を後回しにする人が多く、これが高齢者の生活破綻を招く原因の1つになっていた。30代を中心に急速に貯蓄を増やしているという現実を考えると、今の現役世代の方が圧倒的に堅実といってよいだろう。
ここで1つ大きな問題がある。貯蓄を進めるのは良いことだが、平均的な年収では、貯蓄だけで老後の生活を全てカバーすることはできない。貯蓄からもう一歩踏み込み、資産そのものを増やしていかないと十分とは言えないのが現実である。以前から政府が推奨している、いわゆる「貯蓄から投資へ」である。
だが、必ずしも投資に詳しいわけではない一般のビジネスパーソンが安心して投資を継続するためには、日本経済が今後も順調に発展し、継続的に株価が上昇するという市場環境がどうしても必要となる。だが、そうした好循環を実現することと、消費を抑制し貯蓄を増やす行動はベクトルが一致しない。将来不安から消費を抑制すれば、当然、個人消費が減り、それに伴って企業の設備投資も減ってしまうからだ。
多少、投資について知識のある人なら、今後も継続的な成長が見込める外国の優良企業に投資をするという選択肢があり、実際、ある程度の資金や知識を持っている人は、既に外国株投資を積極的に行っている。だが、こうした投資は全員ができるというものではない。やはり日本経済そのものが成長し、それに伴って日本の株価も上昇することで、国民の資産が増えるという流れが望ましい。
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