首都圏の鉄道会社、決算は大荒れ新型コロナの影響(3/4 ページ)

» 2020年05月28日 09時20分 公開
[小林拓矢ITmedia]

積極的に営業活動に力を入れた小田急

 小田急電鉄はグループ全体で事業に挑戦し続け、積極的なビジネスを行った。だがそれが今期に功を奏することはなかった。

 営業収益は1.4%増。これはよい。営業利益は21.1%減、経常利益は22.9%減、純利益は38.6%減となった。運輸業の費用増加は積極的な姿勢として肯定的に考えられるものの、それが実らないうちに、新型コロナの影響が大きくなったという形だ。

運輸業、流通業ともに大きく落ち込んだ(出典:小田急電鉄)

 運輸業は、朝ラッシュの全列車10両編成化、新型通勤車両5000形の投入、江ノ島電鉄の完全子会社化などを行い、複々線化により定期券での輸送人員も増加したものの、台風による箱根登山鉄道の一部区間運休や外出自粛により、営業収益は3.4%減、営業利益は26.1%減となった。

 流通業は顧客の減少により収益減、人件費減で利益増となった。不動産事業やその他の事業については、新規事業への挑戦が利益を減らす結果となった。

鉄道事業を分社化した東急

 昨年、東急関連でもっとも大きなニュースは、鉄道事業の分社化だった。一方、不動産事業の安定した推移により、営業収益は0.6%増となった。しかし新型コロナにより、営業利益は前期比16.1%減、経常利益は13.4%減、純利益は26.7%減となった。

 交通事業に関しては、沿線人口の堅調な推移が支えとなり、定期券利用者が0.5%増加となったものがポジティブな材料となった。営業収益は横ばい、営業利益は23.2%減となった。経費増加にともなうものだという。

 不動産事業は収益・利益ともに増、渋谷スクランブルスクエアや南町田グランベリーパークの新規開業が大きい。生活サービス事業は百貨店などが厳しく、ホテル・リゾート事業は大きな損失が出た。

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