2019年9月に本社を横浜に移転した京急電鉄は、20年度を最終年度とする中期経営計画をベースに、事業を推進してきたものの、新型コロナで先行きが見えなくなってきた。連結営業収益は前期比7.8%減、営業利益は26.5%減、経常利益は29.0%減、純利益は24.4%減となった。不動産事業において前期に大規模分譲マンションの売り上げを計上した反動が大きい。
交通事業では10月の空港線加算運賃の引き下げがあって収入は減少したものの、利用者は増加。今後も増加が見込めるはずだったが、新型コロナの影響によって利用者減が大きく、営業収益3.0%減、営業利益32.8%減となった。ダイヤ改正による「モーニング・ウイング号」を増発、土休日の「ウイング・シート」などの施策が功を奏するはずだったのに。
その他の事業でも新型コロナの影響は大きかった。
東京メトロは、東京オリンピック・パラリンピックの観客輸送のための交通機関として、オリ・パラの際には大活躍するはずの交通機関だった。
沿線再開発によりオフィス面積・需要増の要因があったものの、新型コロナの影響により旅客収入が減少。営業収益は前期比0.4%減となった。安全対策やサービス向上のための施策で経費や減価償却費が増加したことで、営業利益は14.9%減、経常利益は16.0%減、純利益は15.3%減となった。
東京メトロではホームドアの整備を進め、新型車両の導入や各施設の整備などを積極的に行い、利用者の利便性を向上するための施策を次々と打ち出していた。オリ・パラのための取り組みも行ったものの、延期によりその効果が発揮するのがさらに先になった。
そんな状況の中でコロナ禍。鉄道事業の営業収益は0.7%減、営業利益は17.4%減となった。不動産事業は比較的好調、流通・広告事業も利益増となり、新型コロナの影響を食い止めた形だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング