このQRコード、スマホで読み取ると相手のEightのWebページが表示され、そこからスマホの連絡先に取り込んだり、名刺の画像を保存したりできる。ただし、これだけでは名刺を受け取れても、“交換”にはならない。自分もEightのユーザーならば、スマホアプリを使うことで名刺情報が互いに登録され、“名刺交換”が実現することになる。
QRコードは、相手に読み取ってもらう方法だが、自分の名刺情報を送信する機能もある。同じく「オンライン名刺交換」のページに記載されたURLや、プロフィールページに記載されたURLを、メールやチャットで相手に送信し、相手がそれを閲覧する方法だ。
こうした仕組みでの名刺交換は、コロナ以前に比べて件数が増加している。直接URLを使った方法は、1年前の5月が平均で1日あたり1500件だったのに対し、2020年5月は2000件まで増加した。また、QRコードを使った名刺交換は、20年1月が30件/日だったのに対し、15倍の450件まで急速に増えてきた。
5月4日に政府の専門家会議がまとめた「新しい生活様式」の提言では、「働き方の新しいスタイル」として、「名刺交換はオンライン」と記述されている。経団連も、新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインとして、「会議・イベント、採用説明会・面接、名刺交換などはオンラインで行うことも検討」とした。
SansanのQRコードを使ったオンライン名刺交換は、こうした提言への具体的なソリューションになりそうだ。Sansanの小池亮介PRマネージャーは、「一時期オンライン名刺を普及させようとトライしたが普及しなかった。しかし、いま世の中のニーズがやって来た。オンライン会議や、オンライン記者会見の登壇者背景として利用してほしいし、オフラインイベントでも、自己紹介などのスライドの背景に使えばすぐに名刺交換ができる」と、普及を意気込む。
うまくできているEightのオンライン名刺交換だが、双方がEightユーザーでなければ交換にならないという課題もある。企業向けのクラウド名刺管理サービスであるSansanでも、URLを送り合うことで名刺交換ができる機能を開発しており、6月中旬に提供する予定だ。
ただし、これらはそれぞれのサービスで閉じている。「6月中旬のタイミングでは(EightとSansanのオンライン名刺交換機能に)互換性はないが、その後、送られてきたものをどちらに登録するか決められるようにしていく予定だ」と小池氏は話す。
Sansanは、法人向けクラウド名刺管理サービスで国内8割を超えるシェアを持つなど、この分野のガリバーだ。ただし、誰もがクラウド名刺管理サービスを利用しているわけではなく、企業での導入もまだ限られる。今後、広くオンライン名刺交換が普及していくには、トップ企業が仕様などをリードしつつも、特定の企業やサービスに閉じてしまわない仕組みを作っていくべきではないだろうか。
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