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緊急事態宣言解除後、「通勤という因習」は復活したのか――ビッグデータで解明スマホの位置情報データ活用(2/3 ページ)

» 2020年06月09日 08時00分 公開
[服部良祐ITmedia]

霞が関、7割強まで通勤「復活」

 この2つのエリアは、大企業や外資系が林立する日本有数のオフィス街だ。識者の間では、大都市圏や大手企業を中心に今回のコロナ禍を契機としてテレワークがある程度定着するとの見方もある。ただ、やはり緊急事態宣言の解除によって、平時の通勤スタイルへの一定の“揺り戻し”が生じていると言えそうだ。

photo 本調査の分析対象の1つ、品川エリア(技研商事インターナショナル提供)

 丸の内より品川が比較的低めの「出勤率」(滞在人口の回復率)を保っている点について、技研商事インターナショナルの担当者は「同エリアは日本マイクロソフト本社があるなどIT系企業が集積しており、在宅勤務と親和性が高いのでは」と分析する。

 ちなみに、これら2エリアと違い純粋な官庁街である霞が関はさらに通勤率が復活しており、6月4日時点で平時の72.6%まで戻る結果となった。民間と違う業務の性質や、根強く残る書類文化などから、官庁ではやはり在宅勤務の定着はちょっと難しいようだ。

photo 本調査の分析対象の1つ、霞が関エリア(技研商事インターナショナル提供)

60代以上、通勤に戻る人多く

 さらに、これら通勤時間帯のオフィス街の滞在人口を年齢別に分けて分析してみた。品川と丸の内では緊急事態宣言の解除後、年齢が上がるほど滞在人口の「復活率」も緩やかに上昇する傾向にあり、特に「60代以上」で顕著な傾向を示した。例えば、宣言解除後の品川の人口(5月26日〜6月1日の平日平均)を見ると60代以上は平時の59%まで回復しており、他の年代より10〜20ポイントも高めとなった。

photo 3オフィス街の年代別滞在人口の推移(コロナ禍前を基準に平日午前7時〜10時で算出。KDDI Location Analyzerで分析)

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