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行政にアジャイルなITプロジェクトは実現可能か? 市川市・高山市の「窓口改革」から学ぶポイントIT活用で変化する自治体の今(3/3 ページ)

» 2020年06月12日 10時00分 公開
[蒲原大輔ITmedia]
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DXの本質はテクノロジーではない

 本連載では、DX先進都市として神戸市、市川市、高山市の3つの事例を紹介した。3市に共通するのは、組織としてDXに関するビジョンを発信し、体制を作り、人を動かすためのアナログな施策を行っていることだ。

 これらの土台を作った上で、それを支えるテクノロジーとしてローコード開発ツールを採用している。この順序を誤り、アナログな施策がないまま「ツールありき」で進めるDXには未来がない。DXの本質は組織そのもののアップデートであると位置付けて取り組むことが大切であり、この本質は行政だけでなく民間企業にも通じるものといえるだろう。

 本連載の第3回までは、ローコード開発の登場による「内製」に着目してきた。次回のテーマは、昨今大きな社会課題となっている児童虐待防止である。個人情報保護の観点から情報が分散しがちな現場において、複数機関でクラウドを活用することで、情報を共有する方向に舵を切った自治体の事例を紹介する。

著者プロフィール・蒲原大輔

サイボウズ株式会社 営業戦略部。新卒で品川区役所に入庁し、約5年7カ月自治体職員として勤務。自治体の業務の非効率性や組織人事・風土の問題を解決するため、2016年にサイボウズに入社。18年に鎌倉市に働き方改革フェローとして派遣。IT(ローコードツール)を活用して自治体とともに業務効率化に取り組みながら、公務員コミュニティーの運営や新しい人事モデルの提唱を行っている。「公務員の仕事をもっと面白く」がモチベーションの源泉。


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