東武鉄道の日比谷線乗り入れ列車「THライナー」、その狙いは?メトロから東武へ(1/3 ページ)

» 2020年06月13日 07時43分 公開
[小林拓矢ITmedia]

 東武鉄道は特急の利便性が高い。日光・鬼怒川方面や伊勢崎線方面の特急列車の停車駅を増やし、特急を北千住に停車、他線とのアクセスを向上させている。さらに最近では、「スカイツリーライナー」「アーバンパークライナー」の設定・増発を行い、近距離でも特急利用ができることを売り物にしている。

 一方で、池袋を起点とする東武東上線方面では、特急は運転されていないものの、座席指定列車「TJライナー」が好評を博している。池袋から森林公園・小川町を結ぶこの列車は、クロスシートとロングシートに転換可能なマルチシートを採用、座席指定列車として運行される際にはクロスシートで運転されている。

「THライナー」運行開始

 そんな東武鉄道は、6月6日より座席指定列車「THライナー」の運行を開始した。運行区間は久喜〜霞ケ関・恵比寿間で、70090型を使用している。TJライナーの成功や、特急列車の通勤利用の人気、または同業他社の通勤ライナー専用車両の成功の中で、東武スカイツリーラインと直通する東京メトロ日比谷線が20m車7両編成で統一されたという状況を受けて、地下鉄から東武へと直通する列車を走らせることになった。

東武鉄道新造車両「70090型」

 この列車は、東武のプレスリリースによると、「有料着席ライナーの導入により、都心への通勤・お出かけになるお客さまの快適性・利便性が向上し、着席通勤やお子様連れでの利用など多様なニーズに応える快適な輸送を実現します」とある。通勤で座りたい人に、よりよいサービスを提供するが目的である。

 東武スカイツリーライン系統は、都心へ向かうのに3つの行き先に分かれる。1つはターミナルの浅草へ向かう列車。特急や、一部の普通列車が該当する。2つ目は複々線区間の快速線から半蔵門線へと向かう列車。急行などが該当する。3つ目は、緩行線から日比谷線へと向かう列車。スカイツリーラインと半蔵門線直通列車との接続は、北千住で階段を上り下りすることなく可能だったものの、日比谷線との接続に北千住駅では難があった。フロアが違うため大きく移動しなくてはならないからだ。

TJライナーの始発駅・霞ケ関

 西新井で緩急接続を行わなければならず、上下線列車ともここで乗り換える場合、着席が困難なケースがある。一方で、東武動物公園や新越谷から着席し続け、日比谷線に向かうまでずっと乗っていると、おそろしく時間がかかる。

 着席したい。でも速達性も必要だ。かといって特急の利便性がいいわけでもない。そういうところのニーズに応えたのが、THライナーである。

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