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» 2020年06月16日 09時35分 公開

スピン経済の歩き方:なぜ日本人は「ネガティブ思考」なのか 新型コロナと水商売の関係 (4/6)

[窪田順生,ITmedia]

ワイドショーの罪

 (1)の政治不信については、多くの説明はいらないだろう。なかなか国民に行き届かない10万円給付や、マスクが山ほどで店に並び始めてから送られてきたアベノマスクなど、安倍政権のコロナ対策は国内外からボコボコに叩かれている。そこに加えて、多くの人が収入に不安がある中で、コロナ委託事業のかなり雑なドンブリ勘定が明らかになったことで政治への不信感が高まっている、というのは安倍政権の支持率がガクンと落ち込んでいることからも明らかだろう。

 ただでさえ、世界一自国経済に対してネガティブ思考の国民が、自国の政治にも希望が持てない。もはや神も仏もないと、絶望してしまうことは容易に想像できよう。

 そこに加えて、さらに追い打ちをかけるのが、(2)のマスコミだ。

 「今日はこんなに感染者が増えました」「このままいけば42万人の死者が出ます」「政府はPCR検査を受けさせないで感染者を小さく見せています」など連日のように繰り返し、繰り返し、これでもかというくらいにコロナの「不安」をあおり続けてきたことで国民、特にネットやSNSで情報を収集することができない高齢者を集団パニックに追いやってしまったのである。

 このあたりは別に筆者がテキトーにイチャモンをつけているわけではなく、新型コロナの治療にあたる最前線の医師たちからマスコミへの怒りの声が上がっているのだ。分かりやすいのが5月、神奈川県医師会がWebサイトに出した「不安をあおるメディア」に対して出した異例の声明である。

 「専門家でもないコメンテーターが、まるでエンターテインメントのように同じような主張を繰り返しているテレビ報道があります。視聴者の不安に寄り添うコメンテーターは、聞いていても視聴者の心情に心地よく響くものです。不安や苛立ちが多い時こそ、慎重に考えてください」

 実際、SNSのデマが発端である「トイレットペーパーパニック」も実は後の調査で、店に殺到して商品を買い漁った人の多くが、テレビ報道によってこの情報を知ったことが分かっている。「テレビ報道」というと何やら聞こえはいいが、実際は公共の電波を使って、情報リテラシーの乏しい人々の不安をあおって混乱させているのが、ワイドショーの現実でもあるのだ。

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