こうした恐ろしさを我々はなんとなく感じ取っている。だから、いつもよりもさらに輪をかけたネガティブ思考になっているのではないか。
よく海外から日本のサラリーマンは「飲み会」が好きだと言われる。歓送迎会、忘年会、会社帰りに一杯、と何かにつけて1年中酒を飲んでいる、と。そして外国人の目にさらに奇異に映るのが、銀座の高級クラブやキャバクラだ。隣に座って水割りをつくって会話をするだけで札束が飛んでいくシステムは海外ではかなりユニークだ。
このような独特の飲酒文化が生まれたのは、世界一ネガティブ思考の人々が一時でも楽観的になれるからかもしれない。つまり、「夜の街」は我々日本人にとって精神安定剤のようなものなのだ。
そう考えると、「夜の街」にターゲットに絞って叩く今の風潮はかなりマズい。コロナからの復興を前向きに進めるためにも、政府や自治体が率先して水商売をサポートする空気をつくりだすべきではないのか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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