全国一斉休校要請や外出自粛の呼びかけによる「巣ごもり消費」の中で、インスタント袋麺がカップ麺をしのぐ勢いで売れた。それはまるで一躍「時の人」になったかのような大ブレイクである。
という話を聞くと、「いやいや、3月は買いだめのせいでカップ麺が一時的に品薄になったから、そのぶんがたまたま袋麺に流れただけなんじゃないの」と思う方も多いかもしれないが、今のところ“一発屋”という感じではない。
ビッグデータマーケティングの株式会社True Dataが発表した20年4月と5月のドラッグストアの伸び率ランキング(金額前年同月比)をみると、インスタント袋麺は4月で187.7%、5月でも147.9%と相変わらず売れており、マスク、ハンドソープ、ウェットティッシュというコロナ時代の人気者と肩を並べて5位をキープしている。
つまり、コロナによるパニック買いが一段落した以降も、インスタント袋麺は生活必需品の座をキープし続けているのだ。では、若者離れで低迷していたインスタント袋麺がなぜこの3月から急にスポットライトが当たるようになったのか。
まずきっかけとして大きな役割を果たしたのは、『マツコの知らない世界』(TBS)である可能性が高い。これまでもレトルトカレー、シューマイ、激辛麻婆豆腐など数多の食ブームの火付け役となってきた実績があるこの番組で、3月10日にインスタント袋麺が取り上げられたのだ。
インスタントラーメン専門店「やかん亭」の店主、大和イチロウ氏が出演し、「サッポロ一番塩ラーメン」などの定番人気商品や、北海道の「オホーツク塩ラーメン」などご当地袋麺を紹介するとともに、「カップ麺よりも小麦粉が多く使われていることが多い」「具材がないぶん、麺とスープに力が入っている」などの袋麺の魅力をマツコ・デラックスさんに対してたっぷりと語ったこの回をご覧になって、「インスタントラーメン食べたい」と思った方は多いのではないか。
実際、オンエア後、番組内で紹介された袋麺がスーパーの棚から消える現象が起きている。そんな”マツコ効果”が3カ月を経た今もなお尾を引いてる、というのはこれまでの食ブームの実績からも十分あり得る話だ。
それを示唆するのが、川崎市・溝の口のマルイファミリー溝口で6月16日からオープンしている「やかん亭」の期間限定ショップだ。この店は大盛況で毎日多くの人が全国各地のご当地袋麺を買い求めているのだが、そこにはやはり『マツコの知らない世界』の番組ロゴと、大和氏がスタジオに出演している写真がPOPとしてドーンを掲げられている。
つまり、オンエアを見ていない人にも、「へえ、マツコの知らない世界で取り上げられたんだったらおいしいのかも」という感じで興味を抱かせるなど、同番組がいまだにブームの牽引役になっている可能性があるのだ。
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