米重社長: しかし新型コロナは新しい存在であり、(科学的に)定まっている情報がなかなか無い点が大きい。今正しいと思われていることでも、2〜3年経って間違いだと分かることも十分あり得る。科学的な裏付けができないまま専門家同士の意見対立などが続くと、その議論に世間全体が巻き込まれてしまう難しさがある。
――次亜塩素酸水など、行政や専門家、メーカー、メディア間で見解が分かれ、消費者が戸惑うようなケースもありますね。さらには、「コロナウイルスは〇〇による陰謀だ」といった強烈なデマもTwitterなどでは日常的に出回っています。
米重社長: コロナのデマを打ち消すエビデンスが広まればいいが、実際は容易ではない。(長期間にわたり)デマが繰り返し伝わると、一回誤った情報をインプットしてしまった人(の認識)はなかなか更新されないものだ。TwitterなどのSNSは、普段であれば歯牙にもかけないような陰謀論を可視化し、培養してしまう側面もある。
――結局、混乱するコロナ情報やデマへの対応策はあり得るのでしょうか?
米重社長: 「誰がその意見を言っているのか」「感染症の専門家か、ただの医師なのか」といった、古典的だがそうしたポイントでせいぜい情報を見極めていくしかないだろう。「明らかに不確かな情報は拡散しない」といった防衛的な対応だ。
――SNSに加えネットメディアをはじめとする新興の媒体、テレビのワイドショーなどの報道の不正確さや問題点もよく批判されますが。
米重社長: 確かに(情報の)プラットフォーム側がちゃんと対応する必要はある。しかし、(世間に発信される)情報量が増えれば増えるほど、間違った情報が拡散されるのは仕方ない面もある。加えて(比較的正確な)マスコミの影響力も最近は相対的に落ちてきている。
これは20〜30年もかかることであまり言いたくはないが、根本的には「教育」の問題になると思う。一人一人の情報リテラシーをどう高めるか、ということからいよいよ逃げられなくなってきたのではないか。これだけデマや混乱が膨大な量になってしまったら、受け手へのアプローチで解決するしかないのでは、と考える。そして、そういった(情報リテラシーの)教育はいまだに進んでいないのが現状だ。
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