足場を「20センチ」高くしただけで、なぜ売り上げがどんどん伸びたのか水曜インタビュー劇場(190センチ公演)(3/5 ページ)

» 2020年07月08日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

「快適さ」を味わってもらう

土肥: 社内でいろいろ議論があった末、商品が完成したわけですが、どのように売っていったのでしょうか?

庄崎: 当社はメーカーでありながら、レンタル事業も行っているんですよね。というわけで、「自社で普及させなければいけない」という考えがありました。ただ、現場では高さ170センチの足場が長く使われているので、すぐに切り替えるのは困難を極めるのではないかと考えました

 じゃあ、どうしたのか。当社にはレンタル機材を供給しながら、足場を組む部隊も抱えているんですよね。例えば、マンションを建設する際、足場を組む必要があるわけですが、それを当社が行いました。新しいモノを導入するわけなので、先方は不安を感じていたかもしれませんが、こちらは作業に慣れている。「心配をおかけすることはございません。一度、使ってみてください」などと説明して、使っていただくことにしました。

Iqシステムの足元はできるだけ隙間がないように設計されている

土肥: で、どんな感想がありましたか?

庄崎: 「これは快適だ」と。一度、使っていただいて「快適」であることを感じてもらえたので、「じゃ、次も」といった声をいただくようになりました。また、テレビCMも打ちました。

土肥: えっ、足場のCMを? それはちょっと無理があるような。だって、多くの視聴者は足場になんて興味がない(失礼)。いやそもそも、どの足場を選べばいいのかといった決定権をもっていない。にもかかわらず、テレビ広告を打つなんて無謀のような。

庄崎: ご指摘の通りなのですが、当社としてはIqシステムを一気に普及させたかったんですよね。繰り返し申し上げていますが、多くの現場で、高さ170センチの足場が使われている。何十年も使われているので、当然慣れている。そうした状況なので、簡単に変えることはないんですよね。いくらこちらが「快適ですよ」と言っても、新しいコストになりますし。

土肥: 新しいコスト? どういう意味でしょうか?

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