足場を「20センチ」高くしただけで、なぜ売り上げがどんどん伸びたのか水曜インタビュー劇場(190センチ公演)(2/5 ページ)

» 2020年07月08日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

高さ190センチに決定

土肥: 従来の足場の高さは170センチ。タカミヤは20センチ高くした「Iqシステム」という商品を投入したところ、売れに売れているようですね。鋼製足場のことを調べたところ、その昔、日本人の平均身長が160センチ前半のころに商品ができて、高さは170センチに。その後、平均身長はどんどん伸びているのにもかかわらず、高さはそのまま。

 身長165センチの人でも靴を履いて、ヘルメットをかぶれば腰をかがめないと頭を打ってしまう。しかも、作業用の工具を持ちながら動かなければいけないので、カラダにものすごい負担がかかると思うんですよね。現場から「なんとかしてよ。高くするだけでいいでしょ」といった声があったかと思うのですが、高さ190センチの足場が登場したのは2014年のこと。ド素人の意見で申し訳ないのですが、20センチ高くすることは技術的にそれほど難しいことなのでしょうか?

高さ190センチの足場が売れている

庄崎: 簡単なことではないですが、それほど難しいことではありません。全体的な設計を見直さなければいけませんし、高くするので強度も高めなければいけません。調査したところ、190センチでも十分な強度を確保できることが分かってきました。

土肥: では、なぜこれまで高さ170センチの足場が主流だったのでしょうか? いや、いまも多くの現場で使われている。

庄崎: 2000年に、高さ180センチの足場が登場したのですが、それほど普及しませんでした。こうした背景があるので、社内でもさまざまな意見がありました。「185センチがいいのかな」「いや、それだとあまり変わりがない。190センチでいこう」「いやいや、やっぱり180センチがいいのでは」など。取引先の声を聞いたところ、多くの人から「180センチ」という回答がありました。なぜ、180センチなのか。190センチにすると、「組みにくいのでは?」という懸念があったんですよね。

 足場を組む際には、足元の板を設置しなければいけません。その際、人間の手で持ち上げなければいけないので、高くなればなるだけ、その負担がかかってしまう。こうした背景があって、「180センチ」の声が多かったんですよね。

土肥: 現場からは「180センチ」という声が多かったのに、なぜ190センチにしたのでしょうか?

庄崎: 「快適さ」を重視しました。長く使われている高さ170センチの足場から、新しいモノに切り替えてもらうにはどうすればいいのか。身長170センチ以上の人だと、高さ180センチのところで作業をするのは快適ではないんですよね。腰を少しかがめなければ、頭を打ってしまう。このようなことを考慮して、20センチ高くしたモノにしました。

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