例えば、ドイツのミュンヘンでは、外出禁止令が出る前から、これこれは通常通りやってもいいですよ、とできることを明確に説明していました。「健康のための散歩、ジョギング、サイクリングは、1人、または家族、同居人となら複数でもよい」「同棲カップル、内縁の妻だったら公園でも濃厚接触オッケー」など、実に細かく、明確に定義が示されたといいます。
長い冬を強いられるドイツ人にとって、暖かくなる春に家でじっとしていられるわけがなく、地元の公園は「できることのルール」を守る人たちがつめかけ、コロナ前と同様の人出だったそうです(ミュンヘン在住の知人談)。
私の記憶に間違いがなければ、日本でも緊急事態宣言が出される前には、専門家会議で「やってもいいこと」がきちんとまとめられ、記者会見でも公表されていたのに、だんだんと報じられなくなり「自粛」という言葉が増えていった。
今となっては「東京アラート」も何だったのかわけが分かりませんし、感染者が増えている状況を“リーダー”たちが「嫌な感じ」と表現することも、不確かな情報や不安拡大につながっているように思えてなりません。
そして、感染=自己責任、感染者=差別という状況が、感染してしまった人の心に大きな傷を残すことも決して忘れてはなりません。これは「社会的スティグマ」と呼ばれています。
社会的スティグマを防ぐには、「ウイルスを感染させる」「ウイルスを拡散する」といった表現はタブーとされ、科学的データや最新の公式推奨事項に基づいたリスクを、正確に伝えることが大切です。また、予防と治療の効果を強調し、脅すようなネガティブなメッセージを強調したり、くどくど述べたりすることは避けなくてはなりません。
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