東京メトロ日比谷線と銀座線は虎ノ門エリアで交差していたが、これまでは乗り換えることができなかった。日比谷線に駅がなかったからだ。発展著しい都心のなかでも、再開発が進んでいるエリアで「交通の利便性が悪い」ということはあってはならない。そんな理由で、2つの駅は結びついたのだと言える。
約440メートルというのは乗換通路としては長いものの、回遊性を高め、それぞれの施設にアクセスしやすい点では、必要な施設でもある。時間制限が緩和されたのも、回遊性の高さの中で消費行動を行ってほしいという東京メトロの意志の表れである。
駅があり、そこに街がある状況をつくることで、東京をもっと元気にするのが、東京メトロの考え方である。
各鉄道会社は、鉄道事業だけではなく都市開発事業にも力を入れている。例えばもと国鉄だったJR東日本は、鉄道に並ぶ有力な事業として不動産や都市開発にも取り組んでいる。一方、もともと「営団」だったものが民営化され、自らの持つ市場価値と、運行エリアのポテンシャルの高さを自覚し、それにあわせて駅の価値を最大限に生かそうとしているのが、東京メトロである。
東京一極集中が進む中、都市の存在感は向上している。その中でも東京山手線内に多くの路線を張りめぐらせ、都市交通の主な担い手となっているのが東京メトロだ。
東京メトロは積極的に都市開発に関与することで、企業としての独自の存在感を高めている。
単に鉄道を走らせるだけではなく、街をつくり出す担い手としての意志が、日比谷線虎ノ門ヒルズ駅の開業と、銀座線虎ノ門駅のリニューアルから感じられるのではないだろうか。
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