経理の仕事は「まずは会計ソフトに入力」する必要があるが、多くの紙の書類やアナログな情報管理のせいもあって、これまでは入力に大量のリソースが必要だった。デジタル化によって、入力のリソースは大幅に削減され、本来の経営管理の基盤となる財務データを管理する業務に時間を使えるようになる。
経理以外の仕事も同じだ。デジタル化された仕事はAIによる自動処理もどんどん発展し、オペレーション部分は効率化されていく。仕事からオペレーションが排除されると、残るのは専門の知識や経験に基づく判断や処理の部分である。オズボーン准教授らが予測した通り、オペレーターの仕事はAIによってあっという間に奪われるだろう。
一方で、複雑な事象を整理し、課題を発見し、解決するという意味においては人間の持つ知識や経験は必要不可欠だ。知識や経験がある人間がAIを活用すれば仕事の効率は何倍にもなり、オペレーターも不要になるためコストも減らすことができる。
いわゆる事務職と呼ばれる仕事は、将来なくなる可能性が高いことは以前から警告されてきたが、アフターコロナはデジタル化が一気に進行する中で、その寿命はさらに縮まったといえる。
社会の潮流が大きく変わった20年。漫然とオペレーターの仕事を続けていては近い将来AIに仕事を奪われるだろう。しかしこれまで述べてきた通り、AIは万能ではない。仕事の成果を出すためには、人間の知識や経験が必要不可欠だ。専門知識を身につけたり、高度な判断を必要とする現場で経験を積んだりすることで、AIに仕事を奪われる側から、AIを活用して成果を上げる側にシフトできる。
この大きな変化を脅威と考えるか、チャンスと考えるかによって、数年後に立っている場所が大きく変わる。アフターコロナに訪れる世界、それはあらゆる職業において本当のプロフェッショナルしか生き残れない世界なのかもしれない。
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