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» 2020年07月19日 07時00分 公開

登録いまだ210万人、課題抱えるマイナポイント 諸外国の成功例に学べ (3/3)

[石川真太郎,ITmedia]
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キャッシュレス先進国はどんな取り組みをしてきたのか

 政府主導によって急速なキャッシュレス社会として変貌を遂げた韓国では、「年間クレジットカード利用額の20%の所得控除」「宝くじの権利付与」「店舗でのクレジットカード取扱義務付け」などのクレジットカード利用促進策を長期に渡り実施した。

 その結果、1999年から2002年にかけてのクレジットカード利用金額は6.9倍に増大した。

また、スウェーデンでは、「小切手からデビットカードへの移行」「犯罪対策による現金取扱の廃止」「実店舗等における現金拒否」など、現金の取り扱いを一部規制することによりキャッシュレス決済比率を約50%までに引き上げることに成功している。

キャッシュレス先進国における取り組み

 一方、日本では先ほども述べた通り、キャッシュレス・ポイント還元事業として、小売店などを中心にキャッシュレス決済の利用で最大5%還元などの施策を、19年10月より打ち出したが、20年6月をもって終了した。キャッシュレス促進の終了後には、「マイナポイント事業」が控えているが、還元上限が最大5000円と低く、期間も20年9月〜21年3月までと限定的だ。

 そもそも、博報堂生活総合研究所の「お金に関する生活者意識調査」によると、日本人がキャッシュレス決済を好んで利用しない理由は「お金の感覚が麻痺しそう」「浪費しそう」「セキュリティに不安がある」だ。

 このような理由であれば、マイナンバーカードとの連携が必要なマイナポイント事業は、消費者のセキュリティに関する不安を後押しする恐れがあり、キャッシュレス決済促進施策には向かない。実際に、SNSにはマイナンバーカードと紐づけるのは怖いので、マイナポイントの申請は行わないなどの口コミも見受けられる。

 であるならば、キャッシュレス社会の実現に向けて必要な施策とは何だろうか。「政府主導の長期施策を実施する」「消費者の金融リテラシーを向上させる」の2つが大きなカギとなるだろう。

 キャッシュレス決済先進国の中でも、比較的、文化圏が近い韓国や中国を見ても、やはり政府が主導し、同一の施策を長期に渡って実行している。同一の施策を長期間に渡り実施することは施策の市場認知に有効であり、一度の申請で長期間の恩恵を受けられるので消費者からの支持も得られやすい。日本のように施策を短いスパンで切り上げるのでは、せっかく得た施策に対する認知を自ら壊すことになり、施策のたびに内容の周知が必要になってしまう。

 また、キャッシュレス社会の実現には、政府主導の長期施策を実施と同時に消費者の金融リテラシーを向上させることも重要だ。

 例えば、金融リテラシーの高い方であれば、キャッシュレス決済を利用してもお金を使いすぎる可能性は低くなる。本当に使いすぎが心配であればクレジットカードなどの後払いのキャッシュレス決済ではなく、デビットカードなどの事前入金型のものを利用しようとも考えるだろう。また、クレジット取引セキュリティ対策協議会が計画した「実行計画2019」を知っており、クレジットカードのセキュリティ面は年々強化されていることを理解しているかもしれない。

 キャッシュレス決済は、使い方次第で薬にも毒にもなることをきちんと理解すれば、自然と消費者のキャッシュレス決済率は増えいくだろう。

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