攻める総務

経理業務のテレワーク移行の勘どころ電子化がボトルネックを解消!(3/5 ページ)

» 2020年07月22日 07時00分 公開
[企業実務]

押印(ハンコ)が必要な文書・申請書類等への対策

 ハンコ文化も日本企業の業務効率化を阻む原因とされています。押印のために出社もやむなしという問題の本質を考えると、ハンコが問題なのではなく、ハンコを押す対象が紙であることが問題なのだと分かります。会計伝票、支払依頼書、各種社内申請書や稟議書などが電子データであれば、作成印、承認印なども「電子的なハンコ」で済むはずです。

 財務会計システムやワークフローシステムなどで、承認プロセスを全てシステム化すれば、承認行為が全て電子データで保存されます。

対面を要する業務と対応方法

(1)小口現金供与の削減

 小口現金業務を減らすため、旅費出張費などの前払金を従業員への口座に振り込むなどしてキャッシュレス化を進めましょう。「コーポレート・カード」の利用も一案です。コーポレート・カードは一時期、キャッシュレス時代の寵児として注目されましたが、すぐに廃れました。

 その原因は2つ考えられます。1つはクレジットカード会社からのデータが、カードを利用した日から1カ月以上たたないと送られてこないために、月次の経費精算業務の締めに間に合わないというものです。2つ目は、コーポレート・カードで多額の飲食代を精算した挙句に退職して行方をくらますなどして、会社が多額の損害を被る危険性があったからです。

 しかし最近では、これらの欠点が解決されています。最近のコーポレート・カードは、利用した数日後にはクレジットカード会社からデータが送信されてきます。また、利用代金の引き落とし口座を、カードを支給した従業員の銀行口座から引き落とすこともできるので、会社が損害を被る危険がなくなっています。

(2)銀行窓口へ赴く業務の削減

 銀行によっては利用料がかかるケースもありますが、オンラインで振込みができる銀行が増えてきました。各種支払いは、オンラインで済ませましょう。また、事前に税務署へ利用開始手続きを行い、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用できるようにすれば、納税業務においても、銀行へ赴く必要はほぼなくなるでしょう。

(3)役所への届出業務等の削減

 法務局や自治体への届出等も、最近ではオンラインでの対応が増えています。平時より情報収集して対応しておくと、多くの手続きがオンラインで完結できるようになります。

 特に、法務局への会社登記事項証明書(登記簿謄本)などの請求書は、「登記・供託オンライン申請システム」で請求することができます。郵送料も含めて、法務局へ赴くよりも安くなることが多いので、ぜひ検討してください。

 法人の「印鑑証明書」などは電子署名が必要になりますが、それもできるだけ平時に電子署名手続きを済ませておけば、法務局へ行く必要はなくなるでしょう。

(4)会社への来客対応

 事前にリモート会議で対応してもらえるかどうかを確認して、どんどんリモート会議で対応していくとよいでしょう。平時からリモート会議の利用を進めておけば、緊急時においても円滑に対応ができます。

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