人材系シンクタンクのパーソル総合研究所(東京都千代田区)と慶應大学は、各業界・業種の就労者が「幸せ」「不幸せ」をそれぞれどの程度感じているかという、「幸福学」の大規模調査を実施、7月に発表した。
「終身雇用は幸せの実感度を下げる」「大企業で強く不幸せを感じている人はむしろ転職意向が低い“しがみつき”が発生」といった、日本企業ならではの残念な「仕事あるある」が、データからも浮き彫りになった。
生産性や賃金といった指標よりも一見測定しづらい仕事の「幸福度」が暴いた、日本企業のマネジメントの課題とは。分析を担当したパーソル総研主任研究員の井上亮太郎さんに聞いた。
調査はパーソル総研と慶應大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授の研究室が行った。2月、全国の就業者5000人にネット上で「働く人の幸せ・不幸せ」についてアンケートを取った。特に、「幸せ」と「不幸せ」を完全に別の尺度として定義。それぞれ7つの因子(幸せなら「自己成長できるか」「他者に承認されるか」など。不幸せなら「ハラスメント」「オーバーワーク」など)を元に分析・算出した。
今回注目したのは、調査対象者の職場で採られている人事施策やマネジメントと幸福度の関係だ。例えば、「ハラスメント」や「成果主義・競争」「異動・転勤の多さ」は、いずれも感じる幸せの度合いを減らし、「不幸度」を上げる因子となっていることが分かった。
中でも賛否がちょっと分かれそうな結果となったのは、「定年までの雇用が前提」「役職定年(ある年次に達すると役職を外される)がある」「近年、早期退職募集やリストラが無い」などといった内容の「終身雇用」だ。これらは従業員の幸せ度を有意に下げる因子となっていることも分かった。
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