一般的には功罪の両側面があるともされる終身雇用だが、年代別に見ると特に20〜30代の幸せ度を下げる傾向となった。ただ、恩恵を受けそうなもっと上の世代では、幸せ度への有意な影響は無かった(「不幸せ度」では、60代のみにおいて有意に下げる因子となった)。
井上さんは「終身雇用は全年代にとってマイナスな訳ではないが、今日的な若い世代の幸せには従来型の雇用慣行はやはり寄与していない」と分析する。日本企業において一見プラスのようにも見える退職金の手厚さについても「終身雇用を前提に組まれていると気軽に転職も決められず、どうしても縛られているという意識になる」と見る。
一方、終身雇用とセットの雇用慣行とも言える「新卒偏重」については、逆に60代の幸せの実感を下げる結果となった。
さらに井上さんが着目したのは、従業員の幸せ・不幸せ度と転職意向の関係だ。調査全体で見ると、仕事での幸せ度の低い人ほど転職の意向が高いという妥当な結果となった。ただ、大企業に絞ると違う結果が見えてくる。
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