広報担当者によると、ディッシャーズが誕生したきっかけは、約2年前に立ち上がったプロジェクトだという。
当時、人件費や原材料費の高騰を受け、びっくりドンキーの運営における生産性向上が課題となった。その中で、「タブレット端末での注文」や「セルフレジの活用」といったアイデアが出てきた。
一方、全国に300店舗以上あるびっくりドンキーは、ロードサイド立地が基本で、敷地面積は200坪以上必要だった。また、ファミリー層やがっつり食べたい男性客などが中心で、大きなメニュー表をテーブルの上に広げながら「何を食べようか」と客同士で話し合いながら従業員に注文するのが一般的だった。こういったフルサービスを提供するのが強みではあったのだが、弱点だった若い女性を取り込むだけでなく、狭小物件でも出店できるような業態を模索していた。
こういった問題意識を踏まえて生まれたのがディッシャーズだった。当初、4月オープンを目指していた。しかし、緊急事態宣言を受けてオープンは6月にずれこんだ。実際に運営してみると、別のメリットも見えてきたという。
アレフの中嶋義則氏(オペレーションプランニングチーム・作業システム担当)によると、ディッシャーズでは新人トレーニングの負荷が軽減されたという。びっくりドンキーでは、注文を入力する「ハンディ」と呼ばれる端末の操作方法を覚えるのに時間がかかってしまう従業員が一定数いた。しかし、ディッシャーズではその心配がなくなった。また、セルフレジが導入されている影響で、お客が従業員を呼ぶ回数が減ったという。
従業員は、料理を席まで運んだり、食べ終わった食器を片付けたりする作業に集中できるとともに、余裕のできた時間で接客にも力を入れる方針だ。一方、同店のシステムは「忙しい時間にサクッと食事をしたい」「店員との接触回数を減らしたい」と考えているお客のニーズにも対応しているといえるだろう。
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