中国でも評価割れる日本のGo To キャンペーン、「第2波の中で無謀」「観光業救う苦肉の策」浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(3/4 ページ)

» 2020年07月30日 16時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

北京は1100万人PCR検査後に市外旅行解禁

 感染拡大の中でもGo To キャンペーンを強行する日本と、感染が落ち着いてからも近場旅行が主流の中国には、隠れた共通点もある。「首都除外」だ。

 東京での新型コロナ感染再拡大を受け、日本政府は7月16日、東京都民と都内への旅行をキャンペーンの対象から外すことを決めた。直前の「東京除外」でキャンセル料を巡る混乱が発生し、キャンペーンを当て込んで宿泊施設を開業・再開業した宿泊施設ははしごを外されることになり、給付金、アベノマスクに続いて迷走が続く。

 一方、中国の首都である北京市もつい最近まで、市をまたいだ旅行を制限していた。6月中旬に食品市場付近でクラスターが発生、短期間で300人を超える感染者が確認され、第2波への警戒が高まっていたからだ。

 結局北京市は7月初旬までに約1100万人のPCR検査を実施し、市内の感染は7月に入って概ね鎮火した。13日連続で新たな感染者が確認されなかったことを受け、同市は同月20日に市内の観光施設やスポーツイベント、演劇、映画館の入場制限を緩和するとともに、旅行会社に対し北京市をまたぐ団体旅行と、航空券とホテルをセットにしたパック旅行の販売を解禁した。

 Trip.comグループによると同日13〜15時、北京発着旅行商品の検索数が3倍に増えたという。同社は北京市の政策転換によって、約1000億元(約1兆5000億円)の消費喚起が見込めると予測。今後、国内の旅行会社1万社超と協力し北京関連のツアー商品を展開する意向だ。

国慶節休暇で訪日中国人旅行者の来訪を期待し、装飾を施す商業施設。19年10月、福岡市で撮影

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