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社員に「何か手伝うことはないですか?」と言わせる会社が時代に合わなくなっていくと思える、これだけの理由「脱・職場第一主義」時代のニューノーマルに備えよ(4/4 ページ)

» 2020年08月25日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]
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 しかしながら、もはや高度経済成長期のような常に右肩上がりの未来像は描けない状況にあることは事実です。また、グローバルな環境の中で競争に勝ち抜かなければならないことを考えても、職場第一主義で一枚岩のチームワークを強みとする考え方だけでは難しくなってきています。望むと望まざるとにかかわらず、脱・職場第一主義へと移行せざるを得ない状況になり始めているのです。移行期だからこそのほころびも、既にあちこちで見え始めています。

一枚岩ではなく「さざれ石の巌」

 職場第一主義の良さも残しつつ、脱・職場第一主義へと移行させていくとしたら、チームワークの在り方は「一枚岩型」から、「さざれ石の巌(いわお)型」に変わって行くのではないかと考えます。“さざれ石の巌”とは小さな石が集まって形成された一つの大きな岩のことで、国歌でもうたわれていますね。

 組織のために個性を抑圧してしまうのではなく、さざれ石のような個々の違いを生かしながら、「仕事」という共通の目的のために集まって大きな一つの岩となるようなチームワークが求められるのが、脱・職場第一主義の時代なのだと考えています。

定時後の「何か手伝うことはないですか?」はもういらない

 それは「個人尊重型仕事第一主義」と言い換えても良いかもしれません。個人が尊重され、必要以上の束縛は受けないものの、仕事に対してはしっかりとコミットして、それぞれの役割を果たす中でチームワークをとっていくイメージです。

 さざれ石の巌型チームでは、仮に同じ職務であっても望ましい報酬の在り方は個別に異なるかもしれません。職場が決めた報酬形態に全員が一律に当てはめられるのではなく、働き手ごとに異なる個別契約を結ぶ。そんな報酬の在り方が、脱・職場第一主義時代のニューノーマル(新常態)となっていく可能性もあるのではないでしょうか。

著者プロフィール・川上敬太郎(かわかみけいたろう)

1973年三重県津市生まれ。愛知大学文学部卒業。テンプスタッフ株式会社(当時)、業界専門誌『月刊人材ビジネス』などを経て2010年株式会社ビースタイル入社 。2011年より現職 (2020年からビースタイル ホールディングス) 。複数社に渡って、事業現場から管理部門までを統括。しゅふJOB総研では、のべ3万人以上の“働く主婦層”の声を調査・分析。 『ヒトラボ』『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰。NHK『あさイチ』など、メディア出演・コメント多数。 厚生労働省委託事業検討会委員等も務める。 男女の双子を含む4児の父。


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