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» 2020年08月26日 05時00分 公開

就活人気ランキング“圏外”に 起死回生の「デジタル採用」繰り広げるテレビ局の焦燥コロナ禍で変化は加速(3/4 ページ)

[霜田明寛,ITmedia]

報道の自由度も下降

 国境なき記者団による、世界報道自由度ランキング(英語: Press Freedom Index)でも、この10年間で日本の順位は下落している。震災前の10年には11位だった(09年からの民主党政権時代にランキングは上がった)一方、12年のランキングでは22位に下落し、その後も自民党政権下で下降を続け20年度の調査では66位。ボスニア・ヘルツェゴビナやクロアチアよりも下だ。

 真剣に“ジャーナリズム”を志す学生が、この国の“自由ではなさそうな”テレビ局で働きたくなるか、と言えば疑問だ。もちろん、早計に「ネットメディアは自由だ」などというつもりはない。だが、そろそろネットメディアに触れてきた世代が、就活生になってきている。この事実は、先の人気企業ランキングの変化を考える上でも見逃せない。

 例えば21年卒(現在の大学4年生)は1998年生まれで、iPadが世に出た2010年に小学校6年生だった。彼らが中高生だった時代はiPhoneが爆発的に普及した時期と重なっている。遅くとも大学生までの間に、スマートフォンを日常的に使用するようになった学生がほとんどだ。すなわち、「ガラケーというものを持ったことがない」若者も多くなってくるのである。もちろん、彼らはテレビを見ていないわけではない。小学生時代にはスマホもなく「メディアといえばテレビ」の時代を過ごしているので、ギリギリ“最後のテレビ世代”ともいえる。

 人は思春期に影響を受けたものに、その価値観を規定される。まだ21年卒の中には「絶対にテレビ業界に入りたい」学生もいる。だが、就活生の中では“小学生のときにテレビを見た記憶”がどんどんと薄くなっていく。ここから先の数年が分水嶺となる。

photo iPadでNetfilxを見るのが当たり前の世代が就活をしている(写真提供:ゲッティイメージズ)

テレビ局が舵を切った「デジタル戦略」

 ではそんな“最後のテレビ世代”でもあり、デジタルネイティブでもある彼らに向けてテレビ局はどんな採用戦略を展開しているのか。最近ではネットでのオンライン説明会も多くなってきていて、新たな流れとしてインスタグラムの積極利用がある。

 先日TBSが開催したのは、アナウンサー同士のインスタライブだ。雑談ではなく、公式アカウントによる、れっきとしたアナウンサー採用の広報のコンテンツである。読売テレビはさらにインスタを積極的に利用。TBSのようなアナウンサー同士の会話はもちろん、人事部もインスタライブを実施し、ストーリーズにアップされた質問箱から質問を募集。アーカイブが残るものもあり、就活生でなくても見ることができる。

 説明会といえば、以前は参加者数に制限があることがさまざまな問題を引き起こしていた。特にリクナビ全盛期の2000年代中頃から2010年代序盤は、エントリー(参加申込)がネットで簡単にできるものの、会場の席数には限りがあるため、その差が増大。あふれる参加希望者に志望理由を書かせて判断するのは人事側にとっても効率が悪く負担が多いため、いわゆる“学歴フィルター”を使って、実際に参加できる学生を選ぶケースも多くあった。選考はおろか、説明会にすら参加できない学生も多くいたのだ。

 しかし、インスタグラム上のライブ形式であれば、基本的には誰でも参加可能だ。就活サイトからエントリーするという障壁を越えずとも参加できるため、幅広い層にリーチし、偶然の出会いも誘発できる。また、採用側は、インスタライブに参加した就活生のアカウントを確認できるため、そこから素の姿を探ることもしやすい。面接では分からなかった長所に気付いたり、逆に“危険因子”に気付ける可能性がある。

photo TBSはアナウンサー同士のインスタライブを開催した。公式アカウントによる、れっきとしたアナウンサー採用の広報のコンテンツとしてだ(写真提供:ゲッティイメージズ)

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