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» 2020年08月26日 05時00分 公開

就活人気ランキング“圏外”に 起死回生の「デジタル採用」繰り広げるテレビ局の焦燥コロナ禍で変化は加速(2/4 ページ)

[霜田明寛,ITmedia]

日テレ、テレ朝、フジ「女性役員はゼロ」

 他にも、触れられる“本質”の1つに、「いまだに圧倒的な男性社会」という側面がある。民放労連女性協議会の19年10月の調査によると、NHKを除く東京キー局は、女性比率が社員全体で見れば20〜25%の間であるものの(それでも高いとはいえないが)、日本テレビ、テレビ朝日、フジテレビでは女性役員はゼロ。在京・在阪局ともに、報道部門、制作部門、情報制作部門の局長には「女性は1人もいない」状態になっている。

photo 役員、局長にはわずかに女性がいるが、報道部門、制作部門、情報制作部門の局長には女性はひとりもいない(民放労連女性協議会2019年10月「在京テレビ局女性割合調査報告」)

 そもそもジェンダー・ギャップ指数の低い国ではあるが(19年12月に「世界経済フォーラム」が発表した19年の「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は153カ国中121位)、その状況を改善する情報を発信していく役割を担うべきテレビ局がこの状況なのだ。

 番組制作現場レベルに目をむけても、例えば日本テレビで6月1日に放送された「人生が変わる1分間の深イイ話×しゃべくり007 合体SP」を受けては、ネット上で「Excelが使えるだけでリケジョとくくるな」「そもそも○○女子とくくるのは時代遅れ」といった発言が相次ぎ、炎上した。かつて大多数の意見を代弁しているように見えていたテレビが、実は少数の“時代遅れの”強者の制作物であること――。そのことに、ネットという“ツッコミ”が入ることによって、若者たちが気付き始めている。

 その是非はさておき、“ワイドショー番組でMCをしている人”や“テレビで流行とされているもの”より、“YouTuberやSNSでフォロワーの多い人の発信”や“ハッシュタグの投稿数の多い商品”を若者は信じるようになっていく。例えば最近では、お笑い芸人・中田敦彦もワイドショーのコメンテーターとしてはテレビに出演しなくなった一方で、公式チャンネル「中田敦彦のYouTube大学」は国内有数の人気を博している。若者に訴求するメディアが、テレビからインターネットに移ってきているのだ。

 また、現在Twitterで500万フォロワー以上を抱える歌手、きゃりーぱみゅぱみゅはもともと11年にYouTube上で公開した楽曲の映像が、世界的な注目を集めるに至った経緯自体が話題となった。だが、ドラマやCMなどのタイアップがつかなくても、ミュージックビデオがネット上にアップされたことで人気に火がつく……といったことはこの10年で当たり前の話となっている。

 “感覚のズレ”は制作現場だけではなく、採用面接の場にももちろん影響を及ぼしてくる。例えば先日も、21年卒を対象にしたあるキー局の系列の制作会社の面接で、面接を受けにきた男性の就活生に対し、面接官を担当した部長クラスの男性から「君オカマじゃないよね?」といった質問が飛んだという。彼は笑いながら「違います」と返し、面接も通過したというが、このような質問が就活生になされること自体が、時代錯誤だというほかない。

 もはやテレビ局は時代の先端の感覚をもった集団ではない――。男女比率の構造上から考えても、すぐに改善するのは難しいだろう。その“構造”に、権力もないまま直にまきこまれる“新入社員”になる予備軍である就活生たちが、希望を見いだせないのは当然の話だ。

photo Twitterで500万フォロワー以上を抱える歌手、きゃりーぱみゅぱみゅはYouTube上で発表した楽曲が世界的な注目を集めるに至った(写真提供:ロイター)

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