21年卒・22年卒の就職活動に関しては、緊急事態宣言の影響も受け、選考自体をオンラインで開催する企業も多い。中でもこの夏、アナウンサー試験の前哨戦ともいわれるアナウンスセミナーをキー局・準キー局がオンラインで実施したのは興味深い。事前に原稿をデータとして送付するなどの方法で、例年と同じようにニュース原稿読みを就活生に課した局もあった。
これまでアナウンスセミナーといえば、自局のスタジオで、ライティング・音声なども整えた上で、就活生に自己PRやフリートークなどをさせ、オーラや実物とカメラ映りの差なども加味して判断されてきた。拙稿でも触れた通りだが、オンライン上では、カメラやライティングなどが受験生の判断に任される。オンライン向きの就活生とそうでない就活生で差が出てくるのは避けられない。
もちろん、採用できたからといって安泰ではない。最近では、17年にTBSテレビに入社した2人が、ものの2年で退社しYouTuberになった例もある。また地方局を中心に新しい産業に転身する若手の存在も耳に入ってくる。「テレビ局に入れたからずっと勤める」という意識も崩れ始めているのだ。
かつては就職人気企業ランキングに入り、待遇もいいテレビ局をやめる若者がいることに驚く読者もいるだろう。この10年間、大学生と接し続けて感じてきたことだが、メディアとしても就職先としても「テレビが最先端で大人気」ではなくなってきている。そこにきてこのコロナ禍によって起こっている“オンラインへのシフト”が拍車をかける。2010年代、水面下で起きていた変化が、20年代に入って、いよいよ浮き彫りになり、変化は加速していく。
霜田明寛(しもだ あきひろ)
1985年東京都生まれ。東京学芸大学附属高等学校を経て、2009年早稲田大学商学部卒業。文化系WEBマガジン『チェリー』編集長。『マスコミ就活革命〜普通の僕らの負けない就活術〜』(早稲田経営出版)など、3作の就活・キャリア関連の著書がある。ジャニーズタレントの仕事術とジャニー喜多川の人材育成術をまとめた4作目の著書『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)は4刷を突破のヒット。J-WAVE『STEP ONE』・SBSラジオ『IPPO』などメディア出演も多く、日々の仕事や映画評、恋愛から学んだことなどを発信するネットラジオVoicy『霜田明寛 シモダフルデイズ』は累計再生回数200万回・再生時間15万時間を突破するなど話題に。Twitter。
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