6年で2.2倍に? プロテイン市場が脚光を浴びている背景研究開発が進む(3/4 ページ)

» 2020年08月28日 08時00分 公開
[藤井薫ITmedia]

大手スーパーも販売に注力

 世界最大の食品会社のネスレは、17年にカルフォルニア州に拠点を置くミートレス食品の会社「Sweet Earth」を買収し、2年後に植物性プロテインを使用したバーガー「Awesome Burger(オーサム・バーガー)」を同ブランドの一商品として米国で販売を開始した。

植物性プロテインを使用したバーガー「Awesome Burger」(出典:Sweet Earth)

 豆類をベースにした植物性プロテインの研究開発に力を入れており、インポシブル・フーズ社やビヨンド・ミート社の商品より、プロテインや食物繊維が多く含まれているのが特徴となっている。

 そのほかにも、食肉加工大手のTyson Foods(タイソン・フーズ)は、19年に新ブランド「Raised & Rooted」を立ち上げ、植物性プロテインを使用した商品を投入している。

 印象的なのは、ミートレス食品だけではなく、食肉加工大手の強みを生かしアンガスビーフと植物性プロテインをブレンドしたパテなど、ハイブリッドの商品も展開していることだ。ベジタリアンではないが、健康志向の高い消費者をターゲットしているため、今後の展開が興味深い。

 植物性プロテインのトレンドを盛り上げているのは、実は食品メーカーだけでない。大手スーパーも販売に力を入れている。米最大手のKroger(クローガー)のほかに、Albertsons(アルバートソンズ)やAhold Delhaize(アホールド・デレーズ)は、プライベートブランドで販売している。

 ミートレス食品のブームに乗るだけではなく、さまざまな植物性プロテインの商品を開発している。そして、価格を抑えたプライベートブランドから販売することで、健康志向の高い消費者の囲い込みに余念がない。

 事実、プライベートブランドから植物性プロテインのヒット商品も生まれている。それは、カリフラワーを使用した商品だ。カリフラワーといえば、スーパーの片隅に少量置いてある地味な存在だが、実はプロテインや食物繊維が豊富で低カロリー。良くも悪くも味に主張がないため、さまざまなメニューに加工しやすいことから人気急上昇しているという。

 そのため、最近、米国でのカリフラワーの売り上げは好調で、19年に7億ドルに到達した。16年と比較すると、約40%増の売り上げとなっている。

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