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» 2020年08月31日 12時20分 公開

コロナ禍で製薬業界に訪れた転換点 ヘルステック企業が実現を目指す「バーチャル治験」とは?「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(4/5 ページ)

[田中圭太郎,ITmedia]

オンラインだけでは限界も

 ただ、「オンラインだけでは限界もある」と滝澤社長は言う。いまは病気にかかっておらず関心を持っていなくとも、将来的に関わる可能性はある。そういう人たちにがんの情報や治験について知ってもらうには、インターネット以外のリアルの取り組みも必要になる。

 そこで「オンコロ」で力を入れていることの1つが、がんに関するセミナーの実施だ。年間50回以上開催して、がん患者だけに向けた情報提供から、より多くの人に広げようと模索している。

 もう1つが、チャリティーライブの「Remember Girl's Power!! 」だ。小児がんと、15歳から39歳までの「AYA世代」のがんについて知ってもらうとともに、収益を治験の支援のために寄付することが目的で、医療関係の団体とともに毎年開催している。

 小児がんは15歳未満の子どもに発症するがんの総称で、その中には白血病、悪性リンパ腫、神経芽細胞種、脳腫瘍、骨肉腫などが含まれる。日本では年間、1万人に1人が小児がんと診断され、15歳未満の死亡原因では不慮の事故を除けば最も多い。

 AYA世代は、毎年2万人以上ががんと診断されている。患者が抱える疾患課題に世代特有のものがあることが特徴だ。

 「小児がんや若者のがんは、有効な検診方法や予防方法がありません。また高齢の世代とは違った問題も抱えています。若い女性が乳がんにかかった場合、乳房を切除しなければいけないことに悩みます。子宮がんの患者さんは将来、子どもを産めるかどうかも考慮して治療法を考える場合があります。小児がんやAYA世代が日常生活でさまざまな課題を抱えながら闘病していることについて、もっと理解を広めたいですね」

 5回目を迎える今年のライブは、新型コロナの影響に配慮して無観客で開催する予定だ。9月6日午後3時からオンコロの公式サイトで無料配信される。卵巣境界悪性腫瘍などを経験した麻美ゆまさんをはじめ天野なつさん、純情のアフィリアなどの女性アーティストのほか、甲状腺がんと闘病し40歳で歌手デビューした木山裕策さんも参加する。

 実はこれまで4回のライブで集まった募金は、合計で100万円ほど。「寄付文化が根付いてない日本ではまだいい方」だと滝澤社長は話すが、決して多い金額とも言えないだろう。こうしたチャリティーライブで新薬の開発に貢献する仕組みづくりを模索しているという。 

 「米国などでは有名なアーティストが参加して、1日に何百億円も集めるがんのチャリティーライブが開催されています。チャリティーの収益をがんの研究資金に寄付する仕組みができているんですね。

 日本では残念ながらそうはなっていません。とにかくチャレンジしてみようと、小児・AYA世代のがん啓発月間の9月に開催しているのがこのライブです。毎年改善しながら、チャレンジを続けたいと考えています」

2019年に開催した「Remember Girl's Power!! 」の集合写真。がん患者の人も多数参加していた

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