新型コロナの影響で多くの治験が止まり、医療機関を訪れる機会が減ったことによって患者が治験の情報に触れる機会も少なくなっている。しかし、その停滞は一時的なもので、これから新たな仕組みづくりが加速すると滝澤社長は確信している。
「新薬の開発では、ウィズコロナ、アフターコロナの世界に対応するための取り組みが世界中の製薬会社によって急速に進められています。患者さんが治験を受けやすいように、デジタルを駆使して仕組みを変える流れですね。
日本も規制を整備して、バーチャル治験などを実現していかなければ、新薬の開発が進まなくなるのは明らかです。製薬や医療の業界に大きなパラダイムシフトを起こそうとしています」
ヘルステックの分野は、世界のIT企業のトップを走るGAFAも進出している。Appleが販売しているiPhoneは、日本では医療機器としての承認を受けていないものの、実は遠隔で臨床試験に活用できる機能が入っている。iPhoneやApple Watchを活用したバーチャル治験の実現は、すぐそこまできているのだ。
「1年前まで、ウェアラブルデバイスを使ってデータをとりたいという製薬会社からの要望はほとんどありませんでしたが、新型コロナの感染拡大後は問い合わせが爆発的に増えました。
当社は製薬会社や有識者の方々と一緒に、バーチャル治験をどうすれば国内で実現できるのか、ガイドラインや規制、課題への対応を考える研究を進めています。社会的責任の一端を担う企業として、治験を全ての人にとって身近なものにしていきたいです」
田中圭太郎(たなか けいたろう)
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。雑誌・webで警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。「スポーツ報知大相撲ジャーナル」で相撲記事も担当。Webサイトはhttp://tanakakeitaro.link/。著書に『パラリンピックと日本 知られざる60年史』(集英社)
ITmedia ビジネスオンラインで連載中の「パラリンピックで日本が変わる」。
だが、そのパラリンピックがいつどこで始まったか、知る人は少ない。
そして、パラリンピックの発展に、日本という国が深く関わっていることも、ほとんどの日本人は知らない。
パラリンピック60年の歴史をひもときながら、障害者、医師、官僚、教師、そして皇室の人びとといった、パラリンピックの灯を今日までつなげてきた人日本人たちのドラマを、関係者の貴重な証言から描く。
日本の障害者スポーツ史の決定版。
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