既存の銀行を破壊する? 最近話題のDeFiとは(1/4 ページ)

» 2020年09月08日 17時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 この数カ月、暗号資産(仮想通貨)業界で話題なのがDeFiだ。DeFiは「ディーファイ」と読み、Decentralized Finance、分散型金融の略。銀行など、従来の金融分野のサービスを、ブロックチェーンとその上で動くプログラムで実現するものとされている。

 「既存の金融機関がやっていることを人の手を使わずに可能にする。金融機関が数千億円の経費をかけてやっていることを、DeFiなら冗談抜きに1億円でできてしまう」。日本ブロックチェーン協会(JBA)が9月8日に行ったセミナーで、ブロックチェーンなどを使い企業のDXをサポートするALISの安昌浩CEOはそう話した。

 いったい、このDeFiとは何だろうか。

コンパウンド、ユニスワップ――DeFiとはなにか

 既存の銀行が行っているサービスは多々あるが、預金、融資、為替(送金や決済)が重要な機能といわれている。送金や決済は、ビットコインの誕生時から暗号資産が得意としてきた部分だ。

 DeFiにはさまざまな機能が含まれるが、この「融資」をブロックチェーンを使って実現するのが、代表例の1つといえる。DeFiサービスの中でも有名なコンパウンド(Compound)を例に、流れを見てみよう。

 コンパウンドは暗号資産を貸し借りできるサービスだ。ユーザーは自分の持っている暗号資産を貸し出すことで利息を得られ、また暗号資産を借りたい人は借り受けることができる。

 例えばビットコインに次ぐ有名な暗号資産であるイーサリアムを貸し出す場合、こんな流れになる。コンパウンドのページに行き、イーサリアムを選ぶ。貸し出し額を選び「サプライ」ボタンを押すと、ウォレットからコンパウンドのブロックチェーンに送金が行われ、それだけで貸し出しが完了する。イーサリアムであれば現在年間利息は0.28%、ベーシックアテンショントークン(BAT)なら6.8%もの利息が得られる。

コンパウンドの貸し出し、借り受け利率一覧。利率は常時変動する

 貸し出したイーサリアムは、コンパウンドの運営者が預かるのではなく、ブロックチェーン上に保管(ロック)される。特定のAさん、Bさんに貸し出すのではなく、ロックされたイーサリアムはブロックチェーン上のプログラムで管理される。借りたい人はそこから借りていくイメージだ。「ユーザーしかその資産を動かせないので、暗号資産取引所のように顧客の資産保護に苦心する必要がない」(安昌浩CEO)

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