一方で、2017年のICOバブルを彷彿(ほうふつ)とさせるような盛り上がりにより、詐欺的なものも出始めているという危惧もある。8月上旬にはYAM(イモ)と呼ばれるDeFiサービスがスタート。わずか1日で480Mドル(約510億円)もの金額が集まり、YAMトークンも凄まじい価格急騰を見せた。「ただし、監査されていない、トークンが独自カスタマイズされているなどの問題が目立ち、その後、一気にゼロ円近くまで下落した」(安昌浩CEO)
8月末にはSUSHI(スシ)トークンがローンチ。急騰後、暴落した。さらに9月にはSUSHIのクローンであるキムチがリリース。続いてホットドッグまで現れるも、いずれも急騰後、凄まじい暴落となった。
先の詐欺的案件のように、DeFiはまだ黎明(れいめい)期にある。日本では国家や銀行が信頼されているが、世界では誰もが金融サービスを簡単に安全に利用したいというニーズが高く、DeFiはそれに応えようとしている。
安昌浩CEOはDeFiの今後の課題として4つを挙げた。
1つはユーザビリティだ。現在ほとんどのDeFiサービスはイーサリアムを基礎として作られており、利用するにはイーサリアムとそのウォレットが必須となる。これは普通の人には非常にハードルが高い。
2つ目はスケーラビリティだ。DeFiの盛り上がりによりイーサリアムの送金手数料は高騰しており、1000円貸し付けるだけなのに送金手数料が3000円かかるといった状況になってきている。イーサリアムはスケーラビリティの技術的解決を進めているが(イーサリアム2.0記事参照)、しばらくはこの状態が続く。
3つ目はセキュリティだ。預け入れた暗号資産はブロックチェーン上で管理されるが、そこで動くプログラムにバグがないかなどの監査は引き続き重要になる。
そして4つ目がレギュレーション、規制だ。送金や融資、暗号資産の交換などは、国内でいえば資金決済法や金融商品取引法で規制されている。一方で、DeFiは暗号資産を預かる事業者も存在せず、融資を実行する実体もない。「ブロックチェーン上のプログラムであるスマートコントラクトで動いているので、実質的に規制はできないが、各国の規制とどう折り合いを付けるかが課題だ」と安昌浩CEOは言う。
成長著しいDeFi。インターネットがそうだったように、バブルを乗り越えた後、誰もが安心して低コストで利用できるプラットフォームになれるかが注目される。
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