「タピオカバブル」がコロナで大崩壊 “聖地”原宿の閉店ラッシュと各社の生き残り策長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)

» 2020年09月16日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
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一過性のタピオカファンとは顧客層が違う

 タピオカブームの火付け役である春水堂を国内で18店、直営にて展開するオアシスティーラウンジ(東京都港区)でも、メニューを強化。「ティーカクテル」という新しいドリンクの分野に挑戦している。

 春水堂は1983年創業、台湾で50店以上を展開しているが、87年に「タピオカミルクティー」を発明し、世界にブームを起こした発祥店である。

春水堂表参道店

 日本1号店は、前出・オアシス社が13年、東京・代官山に出店した。また、「TPティー」というテークアウト専門のスタンドも、国内に10店展開している。

 春水堂では、「麻辣排骨担々麺」や伝統的な豆乳スイーツの「豆花(トーファ)」のような食事メニューも充実しており、台湾フードの認知度を高めるのに貢献してきた。お茶の葉も無添加の高品質な素材を使い、シロップは店内でキビ砂糖を煮詰めて作る。また、店を彩る花もスタッフが生けるといったような、こだわりの店づくりを行っている。

9月16日発売、秋の限定商品、黒胡麻担々麺に鶏と生姜の酸辣湯麺

 それだけに、台湾フードを愛する人たちに根強く支持されており、一過性のタピオカファンとは顧客層を異にしている。そこが強みだ。

 ティーカクテルは、6月19日にオープンした渋谷マークシティ店(東京都渋谷区)限定で提供している。お茶とお酒を合わせた新感覚の大人のアレンジティーで、7種類(そのうち2種類はノンアルコール)ある。さわやかで食事に合うティースパークリングや、タピオカ入りでスイーツ感覚の「タピオカ カルーアミルクティー」など、ユニークなラインアップだ。前菜からスイーツまで、130種以上もの台湾小皿料理と合わせて楽しめる。

春水堂渋谷マークシティ店で提供される、ティーカクテルの数々。中央が看板商品タピオカ カルーアミルクティー

 また、7月21日にオープンした京都木屋町店限定で、抹茶と豆花がコラボレーションした「宇治抹茶豆花」を発売している。このように店舗ごとに名物メニューを作っていくのも、春水堂の特徴だ。

 同社では「タピオカがブームになり、お茶を楽しむ文化がやっと育ってきたと思ったら、コロナ禍が来た」(同社広報)と認識している。台湾茶だけでなく、日本茶も提案する。そして、トッピングもタピオカに限らず、アロエなどを自由に組み合わせて楽しむアレンジティーの世界を広く知ってもらいたい。こういったスタンスが、果たしてどこまで伝わるのか不安もあるという。

春水堂京都木屋町店限定、宇治抹茶豆花

 タピオカ大崩壊から、コーヒーをメインとしたカフェと並び立つ、アレンジティーやティーカフェの豊かな世界へと再構築は可能なのか。コロナ禍の中で、模索が始まっている。

こちらは人気を保っている、ゴンチャ原宿表参道2号店

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。


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