ココネは2008年に創立されたITサービス企業である。キャラクターをコーディネートして遊べる「飾って楽しむソーシャルサービス」や「飾る要素をもつゲーム」を生み出してきた。代表作「ポケコロ」は、アバターを通じてネットワークを広げるサービス。癒やしが得られる世界観が女性を中心に人気を博し、1500万人以上から支持されている。
同社は、「ココネデリ」と呼ぶ社員食堂を設け、社員である専属のシェフが栄養バランスの取れた食事を日々提供している。
東京オフィスには現在約300人が働くが、まだ100人ほどだったころからこの施策を続けている。同社はなぜここまでするのだろうか。
「当社の創業者(千会長)はNHN Japan(現在のLINE)を作った者ですが、今度は、事業で日本一になる以前に、まず、いい会社を作りたいと考えました。いい会社であるためには、働く人が幸せであることが欠かせません。自分たちが幸せでなければ、周りの人に貢献し、感動してもらうことはできません。会社は、人生のかなりの部分を過ごす場所。そこで健康的でおいしいものを食べれば、健康を保つことができ、人生を豊かにすることができます」
取締役の石渡真維氏はこう語る。
現在、同社は新型コロナウイルス対策としてリモートワーク中心の働き方に移行しているが、通常時には毎日の朝食、昼食と、週1回夕食を提供していた。
当初は昼食だけだったが、デリチームが「朝食は大事」と主張し、スープやおにぎり、生野菜、フルーツ、フレッシュジュースなどを用意するようになった。
朝食の提供を始める前は、何も食べずに出社する社員も少なくなかった。社員アンケートを取ると、子育て世代が、子どもにはご飯を食べさせるものの、自分が食べる時間が取れないまま出社しているという実態も明らかになった。デリチームの臼井麻織氏は、「2020年6月時点では出社する社員が少ないので、コーンフレークと牛乳など簡単なものにしていますが、なるべく朝食はしっかり食べていただきたいという思いで用意しています」と話す。
朝食の提供開始時には始業時刻があったが、それに遅刻する人も少なくなった。
昼食は、メイン料理が1品。それにスープとご飯(白米か十八穀米や麦米)、おかわり自由のサラダバーがつく。事前予約制で、社員の負担額は1食300円。値段は安いが、質素な内容ではない。先日は屋上で育てたハーブを使ったカプレーゼが供され、好評を博した。
この4月にオフィスを移転し、厨房スペースを拡充したので、リモートワークの推奨期間が明けたら、メイン料理を肉と魚のどちらか選べるようにする計画だ。
夕食は、「残業後、コンビニで買ったものを食べるより、健康的なものを食べてほしい」という思いで始めた。海鮮丼やステーキなどを、昼食同様、原価割れの価格で出している。今は出社する人が少ないため休止しており、復活を待ち望む社員も多い。
石渡氏は、「デリには“コミュニケーションのハブ”としての効果も期待しています」と言う。実際、以前一緒のチームだった人と食事をしたり、顧客を呼んだりと、交流の場としても活用されている。デリのスタッフが「お酒と料理のマリアージュ講習」や「日本酒利き酒大会」などを企画することもあり、部署や職種を超えてコミュニケーションを図ることができる。
取材時点、同社では大半の社員がリモートワークに移行している。そこで、家で仕事をする社員に食事を宅配する「ホームデリ」を開始した。
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