メガネスーパーが「リモートでメガネ作り」を導入できた理由「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(2/3 ページ)

» 2020年09月18日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 コンシェルジュサービスでは、メガネやコンタクトレンズ、補聴器に関するあらゆる相談に、電話やチャット、Web会議ツールで対応する。ただ、一般的なコールセンターとは異なる。その最大の違いは、同社の「部長以上の役職者」が対応するという点だ。

 顧客からの多種多様な要望に対して、いくら接客に長けたスタッフが対応したとしても、一般の社員では“即断即決”できないこともある。権限を持つ役職者が直接顧客と話し、すぐに店舗責任者に指示できれば、問題解決までのスピードは格段に上がる。しかも、対応するのは各エリアの営業部長など、豊富な知識と熟練の接客ノウハウを持つ約20人だ。

 新たに開始したリモート視力検査サービスは、このコンシェルジュサービスの延長線上にある。検査手順など、複雑な説明にも対応できる熟練スタッフが担当するからこそ、実用化できたサービスなのだという。

自宅でも高精度の視力検査が可能に

メガネスーパーが導入した視力検査キット

 今回のサービスのために、米メーカーの視力検査キットを眼鏡チェーンとして初導入した。この検査キットは日本で活用された実績がほとんどなく、研究や教育、個人店のサービスなどに使われたことがあるだけだった。なぜなら、顧客が1人で操作するのは難しい上に、これまでは「セルフで検査する」というニーズがなかったからだ。コロナ禍によってリモートサービスの幅が広がり、心理的ハードルも下がったことが導入のきっかけになった。

 検査キットには、今使っているメガネの度数を測定する機器や、遠・近・乱視とその度合いを測る測定器、さまざまな度数のレンズがセットされた検査器、専用ソフトをインストールしたスマートフォンなどが入っている。この検査キットをセルフで操作するのは難しいものの、コンシェルジュサービスを担うスタッフがリモートで丁寧に説明することで、自宅でも精度の高い視力検査を実施することを可能にした。

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