「人が集まる」「人に直接会う」ことで稼いできた企業が、新型コロナを契機に自社戦略の見直しを迫られている。どのようにして「脱・3密」や「非接触」を実現し、ビジネスチャンスを生み出そうとしているのか。
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「接客」の場が変わろうとしている。新型コロナウイルスの感染拡大によって、これまで当たり前だった対面でのサービスを見直し、新たな“おもてなし”を模索する企業が増えてきた。
高額商品である自動車の販売現場もその一つだ。ボルボ・カー・ジャパンは7月から、オンラインを活用したサービスを強化している。公式サイト内に、オンラインサービスを提供する「ボルボ・デジタルラウンジ」を開設。実際の商談と同じように顧客とやりとりしながら対応する「オンライン商品説明」の運用を全ての正規ディーラーで始めた。
「コーヒーはお出しできませんが、実際のご来店と変わらぬサービスをご提供します」。オンライン商品説明のページでは、このように顧客に呼び掛けている。オンラインの取り組みを強化することで、どのようなサービスを目指すのか。同社に聞いた。
新たに始めたオンライン商品説明は、Web会議システム「Zoom」を使って、ショールームにいるセールス担当者の説明を聞いたり、見積もりを依頼したりできるサービス。担当者はタブレット端末を使用し、展示車の細部を画面に映しながら説明するほか、内外装色やシート生地などの説明用サンプルを使って提案を行う。
それに加えて、「セールスが同乗しない試乗」も始めた。顧客と担当者が同乗する試乗では、窓を開けるなどの感染対策をしているが、それでも狭い空間で担当者と過ごすことに抵抗がある人も多い。実際の試乗前に、商品の特徴や走行ルート、運転のポイントを説明する動画を見てもらうことで、客だけで試乗車に乗れるようにした。
広報担当者によると、このようなオンライン化のニーズは、新型コロナの影響が出る前からあった。感染拡大は、その流れを加速させるきっかけになったにすぎない。
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