ボルボ日本法人が着手した「オンライン接客」 “会ってなんぼ”を超える満足度向上とは?「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(3/4 ページ)

» 2020年08月14日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

「会ってなんぼ」から「都合のいい時間にオンライン」へ

 オンライン商品説明は、現場のセールス担当者の仕事を大きく変える可能性もある。これまでは顧客に会うためのアポ取りが一苦労で、「店舗に行くと契約しなければいけないのでは」という心理的なハードルも高かった。オンライン“商談”ではなく“商品説明”という名称にしている通り、まずは商品説明を自宅で聞いてもらう提案ならハードルは下がる。

 また、セールス担当者の働き方の変化にもつながる。「『会ってなんぼ』だった時代は、まずは玄関先に行って『わざわざ来てくれた』と思ってもらうのが大事だったが、今はあまり求められていない」(広報担当者)。都合のいい時間にオンラインで対応してもらったほうが、客も担当者も時間を効率的に使うことができる。訪問するための移動時間がなくなれば、労働時間の管理もしやすくなる。顧客のニーズも踏まえ、オンラインを上手に活用するセールス担当者も増えていきそうだ。

ボルボ・デジタルラウンジで公開している商品説明動画(出典:ボルボ・デジタルラウンジ

 さらに今後は、整備や修理などにもオンラインサービスを取り入れていく。以前から、店舗の受付担当者ではなく、実際に作業をした整備士が自ら客に整備内容などを説明してきた。それと同じように、整備のために車を預けた顧客に対して、整備士がオンラインで整備結果や修理の見積もりなどを説明できるようにしていくという。

 セールスの商品説明と同じように、実車を画面に映しながら説明できるほか、顧客からの質問にもすぐに対応できる。従来も電話やメールで簡単に説明した上で来店してもらっていたが、整備士が修理箇所などを実際に見せながら説明すれば、来店前に疑問を解消でき、納得感を持ってもらいやすい。

 一方、オンラインサービスを充実させることは、効率化や利便性向上だけでなく、接客品質の向上にもつながると考えているという。自動車は“売って終わり”ではなく、販売後も顧客との付き合いが続く商品だからだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.