新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、業務の進め方を見直す企業が増えている。営業、在宅勤務、出張の是非、新たなITツール活用――先進的な取り組みや試行錯誤をしている企業の事例から、仕事のミライを考えていく。
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新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、多くの企業で在宅勤務の導入が余儀なくされた。これまでにない働き方を経験した人も多いだろう。オフィスを離れて仕事をすることで、感染リスクの低減だけでなく、長時間の通勤や会議を減らせるメリットを実感できた一方で、“不便”に感じる点も明らかになってきた。
その一つが、押印や書類のやりとりなど、取引先と仕事を進める上で欠かせない業務だ。出社や訪問をしないと完結しない仕事があると、新しい働き方はなかなか定着しない。自社でテレワークの環境を整備するだけでは、解決できない問題となっている。
そんな課題の解決を目指そうと、5月1日に発足したのが「#取引先にもリモートワークを」というアライアンスだ。IT企業だけでなく、金融機関やメーカー、士業など、さまざまな規模や業種の74社が賛同(6月8日時点)。自社だけでなく、取引先も含めてリモートワークを可能にするための“アクション”を各社が掲げている。
この活動を立ち上げたのは、クラウド会計ソフトを手掛けるfreeeの山本聡一氏と、フリマアプリ運営のメルカリの吉川徳明氏だ。普段、山本氏はfreeeのクラウドシステムと金融機関のAPI連携に関する責任者として、契約交渉などを担当。吉川氏はメルカリが新しいサービスを広めるために必要なルール作りの働きかけなどを行う政策企画の部署で、契約の電子化を推進する活動も行っている。それぞれの立場で、リモートワークに対する共通の課題意識があったという。
緊急事態宣言が解除され、テレワークを取り入れた働き方を継続する企業もあれば、出社中心の働き方に戻りつつある企業もある。山本氏らは「元通りの働き方はもったいない」というメッセージを発信し、今後も“相手を思いやる”働き方を呼び掛ける。さまざまな企業を巻き込む取り組みの狙いについて、2人に聞いた。
――「#取引先にもリモートワークを」のアライアンスを立ち上げようと思ったきっかけは何でしょうか。
山本: freeeでは緊急事態宣言が出た後の4月中旬、中小企業を対象に、テレワークに関するアンケート調査を実施しました。クラウド会計ソフトの導入企業なので、テレワークの実施率は高いと思っていたのですが、結果を見ると「テレワークは許可されてない」という回答が64%を占めました。また、テレワークで働いている人でも出社頻度が高く、テレワークへの移行が進んでいないことが分かりました。
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