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コロナ禍で停滞した製菓業界の新卒採用を応援 背後にあるのはIT化の遅れアフターコロナ 仕事はこう変わる(1/2 ページ)

» 2020年06月05日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

 製菓業界に特化した人材サービス「PATISSIENT(パティシエント)」を運営するドリームラボ(大阪市)は5月13日、新型コロナウイルスの影響で停滞している製菓業界の就職活動を支援するプロジェクトを開始した。

 第1弾として、2021年の新卒求人などの情報を無料でパティシエントに掲載した。同プロジェクトには約260件の求人掲載の申し込みがあった。そのため同社は5月29日、無料掲載・受付期間を6月15日まで延長すると発表した。

 ドリームラボの児玉直人社長によると、同プロジェクトを始めた背景には、IT化が進んでいない業界の事情があるという。

コロナ禍で製菓業界の新卒採用が困難に

休校措置で就職活動ができない

 パティシエを目指す若者の多くは、専門学校・短大で1〜2年間勉強した後、洋菓子店やホテルなどに就職する。学生は在学中に個人経営のカフェを巡ったり、企業が開催する就職説明会に参加したりする。専門学校も学生の就職活動をサポートする。

 しかし、新型コロナウイルスの影響で、多くの専門学校や短大が休校に追い込まれた。カリキュラムの見直しなどに忙しく、学生への就職サポートに手が回らない学校もあるという。

 実際、ドリームラボが製菓専門学校に通う学生に対して、5月上旬にWebアンケートを実施したところ「就活の連絡や課題も何も無く放置されてる状態です」「企業説明会にも参加できず、学校に行けないので求人票すら見れない状況に不安しかないです」という回答があった。

 また、同社が全国の専門学校51校に対して、学生の就職活動の状況について電話で聞き取り調査をしたところ、1番多かった回答が「予定通りに進んでいない」(51.0%)で、「まったく進んでいない」(41.2%)と続いた。オンラインで就職ガイダンスを行っているのはわずか7.8%だった。

学生の就職活動は停滞している

 児玉社長によると、企業や個人店の求職情報を学校の中でしかチェックできないケースがあるという。掲示板を確認したり、就職支援室内のファイルを閲覧したりといったように、学校に足を運ばないと就職活動を進められない学生が一定数存在するようだ。

 大学生の行う就職活動と同様、学校外でも閲覧できる求人情報が多ければ、今回のような混乱は起きなかったとみられる。“IT化”の遅れが温存されがちなのは、業務フローが紙中心の個人店や企業が多いためだと児玉社長は分析している。

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