「人が集まる」「人に直接会う」ことで稼いできた企業が、新型コロナを契機に自社戦略の見直しを迫られている。どのようにして「脱・3密」や「非接触」を実現し、ビジネスチャンスを生み出そうとしているのか。
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新型コロナウイルス感染拡大によって多くの人の外出機会が減ったことで、巣ごもり需要に対応したオンラインサービスが広がっている。店舗を中心とした営業スタイルの企業も、来店しなくてもサービスを受けられる工夫が求められるようになった。
生活必需品を販売する眼鏡店もその一つ。利用できないと生活に不便が生じたり健康を損ねたりする商品であるため、顧客の必要に応じた柔軟なサービスが求められている。
「メガネスーパー」を展開するビジョナリーホールディングスは7月末から、完全リモートで度付きメガネを作ることができるサービスを開始した。持ち運び可能な視力検査キットを顧客の自宅に送付し、オンライン会議ツールで対話をしながら検査などを実施してもらうサービスだ。
とはいえ、店舗で実施している視力検査を自宅で行ってもらうのは難しい。どのように運用しているのか。その背景には“熟練の接客力”を活用する方針があった。
新しく導入したリモート視力検査サービスに対する反響は大きい。開始1カ月で約200件の申し込みが入った。機器の送付や返却に時間がかかるため、予約数を制限していることから、予約待ちをしている人が多い状況だという。
導入のきっかけは、新型コロナウイルスの影響で来店できない人が増えたことだ。生活必需品を販売していることから、緊急事態宣言中も店舗営業を継続していたが、月次売上状況をみると、4〜5月の既存店売上高は前年同月比82%。その後、6月と7月はともに99%を超え、ほぼ前年並みに戻った。一方、シニア客など、以前のように来店できなくなった顧客も多いとみられる。
そういった顧客のために、まず6月に開始したのが「お家でコンシェルジュ」というサービスだ。以前から、外出が困難な顧客向けに出張訪問サービスや買い物代行、無料送迎などのサービスを提供しているが、対面で会うことを避けながらも顧客にきめ細かく寄り添える手段として、新サービスを導入した。
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