土肥: ガジェタブルは18年6月に発売されていますが、当初の反響はどうでしたか?
森川: とある商業施設で限定販売したところ、すぐに売れました。なぜ売れたのか。店内に電車の吊革を用意して、カバンを前に持つスペースを設置していただきました。電車の中を想像できるので、カバンを持ち「周囲の人たちに邪魔にならないかなあ。大丈夫」といったイメージができたのかもしれません。想定以上に売れたので、社内の営業から「いくつ確保できるのか?」といった声が出て、在庫の取り合いになるほどでした。
通常ビジネスバックの場合、まずは3カ月分の在庫を確保するんですよね。販売数などをみながら増産していくわけですが、ガジェタブルは1カ月で完売しました。初めての商品だったので明確な目標は立てていなかったのですが、想定の120%で売れていきました。
土肥: ビジネスバックの場合、新商品を出してすぐに売れるケースは珍しいのですか?
森川: 爆発的に売れるといった特性はなくて、じわじわ売れて、口コミなどによってさらに売れることが多いですね。ですので、ガジェタブルのように一気に火が付いて、慌てて商品を増産するといったケースは珍しいです。
土肥: 滑り出しは好調だったようですが、この5〜7月も売れていますよね。新型コロナの影響を受けて、在宅勤務の人が多い。通勤する機会が減っているので、カバンは不要なはずなのに、対前年比を上回っている。なぜ、こんな数字が出ているのでしょうか?
森川: 新型コロナの感染が広がって、3月に在宅勤務を実施する企業が増えてきました。結果、お客さんからどのような声があったのか。「急にテレワークになったので、PCが入るカバンがほしい」「会社からPCを支給されたけれど、サイズは15インチ。それが入るカバンがほしい」など。
テレワークが導入されるまで、PCを持ち運ぶことはなかったのに、会社から支給されることに。それまで使っていたカバンに入らないので、ビジネスリュックを買い求める――。こうした人が増えてきたんですよね。また、当時は13インチのPCが品薄になっていたこともあって、15インチのモノを支給された人も。ガジェタブルは15インチのノートPCが入るので、「これにしよう」という人が増えました。
ただ、4月に緊急事態宣言が発令されたので、多くの店が閉店に追い込まれました。結果、売り上げは落ち込むのですが、解除された5月末から再び販売数は伸びていきまして、前年比を上回ることに。
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