本当に大丈夫? 菅首相の「地銀再編」発言が、再び“失われた10年”を呼びそうな理由「第4のメガバンク」構想も難しそう(5/5 ページ)

» 2020年09月30日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]
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 菅総理が誕生し「地銀は統合も一つの選択肢」と会見で話した翌日、新聞紙面には「青森銀行とみちのく銀行が経営統合へ」との記事が掲載され、両行が即座にその報道を完全否定するという「事件」がありました。もしやこの報道、メディアを使って地銀再編機運を強引に盛り上げようとした首相サイド主導のリークではなかったかと、梶山静六氏がメディアを使い強引に長銀を“退場”に向かわせたあの流れを思い出し背筋が寒くなりました。

 菅首相が本気で地銀の経営統合を進めようと思うのならば、まず何よりも「統合後の明確な道筋の提示」こそが必要であり、それなくして「地銀は数が多い」「統合も選択肢」と言ったところで無意味であるということを認識した上で行動してほしいと切に願うところです。「半沢直樹」人気を聞くにつけ、これに便乗して銀行を悪者にした強引なやり口で人気取りを狙うようなことだけは、絶対に避けてほしいと思います。

著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)

株式会社スタジオ02 代表取締役

横浜銀行に入り現場および現場指導の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。全銀協出向時は旧大蔵省、自民党担当として小泉純一郎の郵政民営化策を支援した。その後営業、マーケティング畑ではアイデアマンとしてならし、金融危機の預金流出時に勝率連動利率の「ベイスターズ定期」を発案し、経営危機を救ったことも。06年支店長職をひと区切りとして銀行を円満退社。銀行時代実践した「稼ぐ営業チームづくり」を軸に、金融機関、上場企業、中小企業の現場指導をする傍ら、企業アナリストとしてメディアにも数多く登場。AllAbout「組織マネジメントガイド」役をはじめ、多くのメディアで執筆者やコメンテーターとして活躍中。


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