LINEが野村ホールディングス(HD)と組んで開始したLINE証券が好調だ。9月29日の会見で、サービス開始から1年で、口座開設数が累計31万口座に達したことを明かした。さらに2年後の2022年には、「100万口座、営業収益100億円を目指す」(LINE証券 Co-CEOの落合紀貴氏)と打ち上げた。
これが実現すると、5大ネット証券と呼ばれるSBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券の一角に食い込む規模感だ。auカブコム証券の口座数は8月時点で118万あまり、新規口座開設数は直近の半年で3万5000程度だ。松井証券は126万口座(6月末)、マネックス証券は188万口座(8月)となっている。
SBI証券(542万、4月)と楽天証券(440万口座、6月)は、口座数でも新規口座開設数でも頭ひとつ抜けているが、マネックス、松井、カブコムの新規口座開設数は年間で5万〜10万程度。開業からわずか1年で31万口座に至ったLINE証券には勢いがある。
2019年8月の開業時は投資初心者をターゲットに、「1株から株が買える」ことを特徴としてきた。しかし、「開業当初は初心者が多いという想定だったが、経験者の利用も多い」(落合Co-CEO)ということから、方針転換した。
単元未満株取引サービスだけでなく、11月には投資信託の取り扱いを開始。20年3月にはFX、5月には一般的な取引所取引と信用取引、6月には積み立て投資と、ラインアップを急速に拡充してきた。「投資未経験者や初心者が、経験を積みステップアップしてきたことで、次のステップに進みたいという要望を受けて選択肢を増やしている。フルラインアップを揃えてきた」(落合Co-CEO)
現在は20〜30代が利用者の過半を占めるが、「40代にも利用者が増えてきており、手応えを感じている。上の世代の利用も増えていくと見ている」(落合Co-CEO)と、経験者の利用拡大に積極的だ。投資経験者は、全体の4割、信用取引は2万口座だという。
コロナ禍も利用者増加を後押しした。1日の平均の約定件数は約2.5倍、稼働口座数は約2倍、売買代金は約3.6倍、入金額は3.4倍に増加したという。
口座開設にはeKYC(電子的な本人確認)を業界内で初導入し、非対面での手続きを推進してきた。「2〜4月の新規口座開設数は、前の3カ月間と比べて2倍になった」と、LINE Financialの斎藤哲彦社長は話した。
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