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日本を変える「テレワーク」
インタビュー
» 2020年10月22日 08時00分 公開

大企業で社員9割のテレワークを実施 KDDIの人事部門に聞く「これからの人事のシゴト」 (1/3)

[らいら,ITmedia]

 企業がテレワークを導入するには、システムの構築だけでなく、就業規則の制定や評価制度の変革など人事的側面での仕組みづくりも必要となる。また、社員へのテレワークルールの周知といったフォローアップも欠かせない。

 それらが曖昧なまま導入してしまえば、現場が混乱するだけでなく、テレワークそのものへの嫌悪感が生まれ、制度自体を廃止してしまう事態もありうる。テレワークの全社導入・定着を成功させるには、人事の働きが重要な鍵となるのだ。

 そこで、テレワーク先進企業であるKDDI人事本部長の白岩徹氏に、テレワーク導入にあたって人事が担うべきポイントや、2020年8月から導入した「KDDI版ジョブ型」の新人事制度について話を聞いた。

KDDI執行役員コーポレート統括本部人事本部長の白岩徹氏

新型コロナによって想定外のテレワーク実施率「9割」に

―― テレワークの実施状況について教えてください。

白岩 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、緊急事態宣言期間中は全社員のうち90%以上がテレワークになりました。感染者数が増加傾向にあった8月上旬時点では7割程度がテレワークで仕事をしています。ただ、部署によって状況は異なり、完全にテレワーク化した部署がある一方、個人情報を扱うなどの理由で、テレワークを導入していない部署もあります。

―― そうなると、オフィスはガラガラですね。

白岩 今までは「オフィスで働くのが当たり前」という前提がありましたが、コロナをきっかけにオフィスの概念は本当に変わりました。人事本部は働き方改革をリードする責任を持つ部署の1つなので、2019年度からテレワークやフリーアドレスを本部内で推奨してきました。しかし、さすがに社員の7割〜9割が一気にテレワークする状況は想定していなかったので、「今後オフィスはどうなっていくのだろう」と議論をしているところです。

―― KDDIは虎ノ門ヒルズビジネスタワーに法人部門の新拠点を開設し、20年8月から順次移転することを発表しています。こちらは在籍社員数に対して座席数を4割削減したそうですが。

白岩 「固定席に座って働く」というような発想は今はないですね。日々違う人が隣に座るだけでもコミュニケーションは生まれますので、フリーアドレスはポジティブな制度だと思っています。虎ノ門新拠点ではありませんが、人事本部の席数も社員数に対して9割程度です。仮に全員が出社した場合を想定してフリースペースは用意していますが、テレワークを推奨していけば、物理的な席数は100%用意する必要はありません。しかし、何度も言いますが、まさか全員が出社しなくなるとは全く想定していませんでした。

在籍社員数に対して座席数を4割削減した虎ノ門ヒルズビジネスタワーのKDDI新拠点。オンライン会議ツールを充実させるほか、高セキュアなセキュリティシステムを導入するなど、働き方改革を推進する拠点として整備していくという

―― テレワークはオフィスの概念を変えただけではなく、人事面においても制度改定などの影響が出たのではないでしょうか。

白岩 今の人事制度は9割の社員がテレワークする状況を想定していないものなので、いったん社内ルールを緩めて対応していますが、今あらためて検討しています。これからは出社とテレワークのハイブリッドな働き方になっていくため、下期の10月には社内向けにニューノーマルの働き方や、より柔軟性のあるルールを設定しました。10月1日から全社員を対象に通勤手当の支給方法を実費精算に変更し、コロナ禍における勤務に対する支援金として、非管理職社員を対象に年末賞与で3万円を支給することを決定しました。

 テレワーク、特に在宅勤務には、性悪説のようなマインドがもともとありますよね。家での仕事をネガティブに捉えると、「ちゃんと仕事をやっているか分からない」という人もいるわけです。そのため、従来はテレワークに承認行為が必要でした。

 しかし、今は基本的にはテレワークは性善説だと思っています。評価制度でも本人のパフォーマンスや成果、本人の能力といった360度の評価に重きを置くようになりつつあります。在宅勤務を大前提で受け入れれば、テレワークの承認プロセスも厳しいものから「テレワークは当たり前」のものに変わっていくでしょう。

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