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日本を変える「テレワーク」
インタビュー
» 2020年10月22日 08時00分 公開

大企業で社員9割のテレワークを実施 KDDIの人事部門に聞く「これからの人事のシゴト」 (3/3)

[らいら,ITmedia]
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これからの働き方のキーワードは「自律」と「責任」

―― 先日、KDDIは新たな「KDDI版ジョブ型」人事制度を発表しています。一般的な欧米型の「ジョブ型」雇用は、仕事に対して人を割り当てパフォーマンスによって評価します。高いスキルを持つ人は高待遇を受けられる一方、成果が出なければ解雇される厳しさもあります。「KDDI版ジョブ型」はどのような制度でしょうか。

白岩 そういった、一般的に言われる欧米型のジョブ型をロールモデルとしているわけではありません。われわれは通信だけでなく、決済サービスやECサイトなど多様な事業を数多く手掛けています。これは弊社の強みであり、だからこそ幅広い経験を積みたいという社員も当然います。就活生も全員が専門性を持って入社するわけではありません(専門性を生かす『WILLコース』採用は設けている)。社員全員がジョブ型雇用になるのは現段階では不可能です。

 会社を辞めることなく、いろいろな事業部もしくは子会社等へ異動しながら経験を積む。その後、その幅広い経験を生かしてマネジメント側に行くもよし、経験の中で専門性を見つけたのならそれを磨くもよしです。ジョブ型に移行するのではなく、メンバーシップ型とジョブ型をハイブリッドした新たな制度というイメージです。

―― テレワークで働く状況が見えづらくなったところで、さらに成果重視のジョブ型を導入すると、働きすぎや隠れ残業といった問題が生まれる土壌にはなりませんか。これに対して、労務管理上どう対策していくべきと考えていますか。

白岩 KDDI版ジョブ型によって社員が自立し多様な働き方が実現できれば、過重労働や隠れ残業といった問題は発生しないと考えています。しかし、制度が浸透するまでの過渡期においては、法令の順守との両立が重要です。さまざまなツールを通して成果に対して適切な労働時間であるか確認したり、社員のマインドチェンジを促す対策を取ったりする必要があります。社内カウンセラーの配置など、健康経営の視点でも社員の健康状態には配慮しています。

―― 日本企業らしいメンバーシップ型とスキル重視のジョブ型が共存するとなると、人事評価の軸も変わるのでしょうか。

白岩 メンバーシップ型だからといって、働いた時間で評価するようなことはありません。やはりどちらの人材も成果物を中心に見ていく評価制度ではあります。弊社の中期計画のベースは「自律」と「責任」です。成果が評価軸の1つにあるというのも、この自律と責任から来ています。日本には労働基準法があるので、われわれは成果が出ないからと言って欧米のようにすぐに社員を解雇する発想はありません。ただ、柔軟性を持ちながら生産性を上げていくためには、自律と責任が重要なキーワードになると思っています。

KDDIは働き方を変革するため、働き方を自ら「自律」的に選択し、スキルアップや業務効率化により、成果を出すという「責任」を果たすという考えを打ち出した

白岩 会社は今までと違う働き方の選択肢は設けるので、社員にはそのオプションを柔軟に駆使して生産性を上げてほしいと思っています。テレワークが増えれば通勤時間や出勤のために準備する時間がなくなるので、時間の余裕ができますし時間の使い方も大きく変わります。そこを生かし、自ら自己啓発・自己研鑽に挑戦していってほしいと社員には伝えています。同時に、人事本部の責任として、下期以降には社員向けに自己啓発ができるコンテンツをどんどん展開していきます。

 言われたことをやるのは簡単ですが、自分で決断し、アウトプットに対する責任を持つことはたやすくありません。日本企業で働く社員は、これから自ら考え、決断し、動いていかなければいけない環境になるのではないかと感じています。新時代に向けて会社と社員が考え方を変え、それが両輪のように動けば、より柔軟でよりよい会社になるはずです。

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